MATSURI関連企画「百人組手」のチャレンジを続ける中で感じたことを綴る「百人組手の一人相撲」。連載の第1回目として、まずは担当者よりご挨拶。
「百人組手」。それは文字通り百度の挑戦を潜り抜ける荒行。ちとせはMATSURIプロジェクトの一環として、100種類のプロダクト(のプロトタイプ)を制作し、その過程をレポートする難題に挑戦しています。現在は、最初の取り掛かりとして「染めるーー藻類産業における工芸の可能性」をテーマに、主に視覚的な表現の観点からユニークなモノづくりをしている作家や熟練の技術を持つ技術者とコラボレーションを進めています。これから藻類という魅力的な生物とより多くの人が接点を見つけられるよう、テーマ探しも精力的に進めていますのでよろしくお願い申し上げます。
さて、今では少しずつ社内での認知も上がり、「こんなリクエストがきてますよ」とか、「ここと何かできないですかね?」と声をかけていただくことも増えてきたこのプロジェクトですが、最初のきっかけはいわば個人発案の持ち込み企画でした。周囲の応援があるとはいえプロジェクトの方向性が自分に委ねられており、始めはさしずめ「一人相撲」の様相でした。最近では、いろいろな人の力を集めていくうちに「百人組手」というプロジェクトそれ自体が一つの生き物のように自律的に立ち上がっていくのを感じており、時々「おっ」と呟かされます。
とはいえ、百人組手はまだ始まったばかり。会社という狭い埒を超えてオープンワールドをどんどん探索し、どんどん強い生き物に成長して欲しいです。思えば、プロジェクトの行きたがる方向が次第に見えてきて、「百人組手」に対するガッチリとした手応え、いわばぶつかり稽古感が芽生えてきたように感じます。
何かを思い描きながらその輪郭が描けない人、自分の先入観を超えて何かを作りたい人、その「一人相撲」、私たちと一緒にとりませんか?たかが一人相撲、されど一人相撲。どこまで行っても一人相撲かもしれませんが、集まってみれば一人相撲以上の意味が生まれ出てくるかもしれません。しかしそれは、みんなで集まって「つながる」「力を合わせる」ことを呼びかけることとも少し違うのだろうと思います。それぞれが一人相撲をやりおおせるために、つかの間だけ、近くにいると感じることが何か意味を持つのではないかと思います。
written by: Aoi Nakamura