COLUMNS コラム一覧

マレーシア サラワク州において、CHITOSE Carbon Capture Central(C4)の開所披露会を執り行いました
2023年5月10日、マレーシア サラワク州において、CHITOSE Carbon Capture Central(C4)の開所披露会をちとせグループ、Sarawak Biodiversity Centre、Sarawak Energy Berhad社と共同で執り行いました。 開所披露会には、在マレーシア日本国大使館 狩俣公使や経済産業省の皆様をはじめ、MATSURIにご参画いただいているパートナー企業様、金融機関様にお越しいただきました。マレーシアからもサラワク州のトップであるアバン・ジョハリ首相ほか、政府関係者等の来賓にお越しいただき、あわせて約250名の盛況な会となりました。 世界最大規模の藻類生産設備であるC4の開所は現地でも高い関心と注目を集め、テレビ番組でも報じられるほか、新聞各社の一面を飾りました。C4で生産された藻類がSAF(持続可能な航空燃料)等への応用に期待される点や、熱帯気候下における次なる藻類工業規模生産に向け、C4がマイルストーンになったとの見解も報じられています。※関連記事一覧はこちらから。 今後ちとせグループは藻類産業構築のためさらに活動を加速させ、サラワク州から世界を変えていきます。生き物たちの力と共に千年先の未来をもっと豊かにするという大きな目標に向かって挑戦し続けてまいります。 中央:ちとせグループ代表 藤田 右:アバン・ジョハリ首相
マレーシア サラワク州において、CHITOSE Carbon Capture Central(C4)の開所披露会を執り行いました
2023年5月10日、マレーシア サラワク州において、CHITOSE Carbon Capture Central(C4)の開所披露会をちとせグループ、Sarawak Biodiversity Centre、Sarawak Energy Berhad社と共同で執り行いました。 開所披露会には、在マレーシア日本国大使館 狩俣公使や経済産業省の皆様をはじめ、MATSURIにご参画いただいているパートナー企業様、金融機関様にお越しいただきました。マレーシアからもサラワク州のトップであるアバン・ジョハリ首相ほか、政府関係者等の来賓にお越しいただき、あわせて約250名の盛況な会となりました。 世界最大規模の藻類生産設備であるC4の開所は現地でも高い関心と注目を集め、テレビ番組でも報じられるほか、新聞各社の一面を飾りました。C4で生産された藻類がSAF(持続可能な航空燃料)等への応用に期待される点や、熱帯気候下における次なる藻類工業規模生産に向け、C4がマイルストーンになったとの見解も報じられています。※関連記事一覧はこちらから。 今後ちとせグループは藻類産業構築のためさらに活動を加速させ、サラワク州から世界を変えていきます。生き物たちの力と共に千年先の未来をもっと豊かにするという大きな目標に向かって挑戦し続けてまいります。 中央:ちとせグループ代表 藤田 右:アバン・ジョハリ首相

世界最大規模の藻類生産設備が開所式開催
2023年4月4日(火曜日)9時現地時間MRT/マレーシア:クチン 世界最大規模の「藻」生産設備5ヘクタールの開所式が催されました。 式には在マレーシアの日本大使をはじめNEDO理事、経済産業省の方々やMATSURIプロジェクトに参画している多くの企業の代表や役員の方々にご列席いただき開催する事ができました。ここから藻類の産業構築が本格始動しています。※本プロジェクトはNEDOから委託され藻から燃料にするための研究開発をしております。 晴天の中で迎えた開所式は、多くのメディアも参加し日本からはNHKも取材に来られ当日のNHKワールドやNHK WEB、おはよう日本などでも放映されております。開所宣言を発したCHITOSEグループ代表の藤田は、これまでの熱い想いや、ここから加速する藻類産業への想いを語られ参列者を感動させるスピーチとなり、きっと誰もが忘れられない日となったと思います。 ※完成に先立ち、ここから加速する藻類産業への熱い想いをスピーチをするCHITOSEグループ藤田代表 委託先であるNEDOからもリリースと情報発信がされました! https://twitter.com/nedo_info/status/1648589497527939074https://www.nedo.go.jp/ugoki/ZZ_101191.html?from=TW
世界最大規模の藻類生産設備が開所式開催
2023年4月4日(火曜日)9時現地時間MRT/マレーシア:クチン 世界最大規模の「藻」生産設備5ヘクタールの開所式が催されました。 式には在マレーシアの日本大使をはじめNEDO理事、経済産業省の方々やMATSURIプロジェクトに参画している多くの企業の代表や役員の方々にご列席いただき開催する事ができました。ここから藻類の産業構築が本格始動しています。※本プロジェクトはNEDOから委託され藻から燃料にするための研究開発をしております。 晴天の中で迎えた開所式は、多くのメディアも参加し日本からはNHKも取材に来られ当日のNHKワールドやNHK WEB、おはよう日本などでも放映されております。開所宣言を発したCHITOSEグループ代表の藤田は、これまでの熱い想いや、ここから加速する藻類産業への想いを語られ参列者を感動させるスピーチとなり、きっと誰もが忘れられない日となったと思います。 ※完成に先立ち、ここから加速する藻類産業への熱い想いをスピーチをするCHITOSEグループ藤田代表 委託先であるNEDOからもリリースと情報発信がされました! https://twitter.com/nedo_info/status/1648589497527939074https://www.nedo.go.jp/ugoki/ZZ_101191.html?from=TW


未来の生活を支える”藻類”プラスチック
「1人 1日 約200g」 この数字は、日本人1人が1日に捨てるプラスチックの量である。プラスチックは石油を精製したエチレンやプロピレンなどからできているが、石油はこのまま使い続けると後50年ほどで枯渇するだろうと言われている。そのため、石油を原料としない「バイオプラスチック」が世界中で注目されている。 未来の私たちの生活を支えるバイオプラスチック バイオプラスチックの原料となるのは、トウモロコシ等の穀物資源、サトウキビ等から取り出される糖類が主体である。バイオプラスチックの一種であるポリ乳酸(PLA)は、デンプンの発酵によってできた乳酸が化学反応することで精製される。一方で、トウモロコシやサトウキビを原料とすることは、有限な農場において人々への食糧の供給を減らすことにも繋がるため、農作物以外の原料を探索する研究も進んでいる。例えば、微生物による発酵やセルロース(食物繊維)を用いたバイオプラスチックの生産が試みられているが、中には、藻類を原料とした生産に着手した企業もある。米企業ALGIXは、藻類からプラスチック素材を製造することに成功し、同社の製品は包装材、園芸用資材、電子機器等に活用されている。 藻類を用いたバイオプラスチックへの注目 このようにバイオプラスチックに注目が集まる中、藻類を原料としたユニークなプラスチック製品を発見したので紹介したい。「Ooho」と名付けられたその製品は、ロンドンの学生達がペットボトルの廃棄量削減を目指して発明した、”食べられる”ボトルだ。この製品は、植物や海藻(褐藻)から抽出した天然素材で作られていて、4~6週間で分解される。そのため、従来のペットボトルと異なり、このまま土や海に捨てたとしても自然に分解される。また、ジェル状の膜で水を覆ってあるため、清潔な水を持ち運ぶことができ、且つOohoを割って中の水を飲むこと、そのままOohoを食べることも可能である。さらに環境に優しいことに、同じ量のプラスチックを作るのに対し、Oohoの製造に必要な二酸化炭素量は5分の1であり、エネルギーも9分の1で済む。是非とも下の動画でこのユニークな製品をご覧いただきたい。 Oohoを製造しているSkipping Rocks Labのホームページによると、現時点では残念ながらイベント等での小規模な販売のみで、一般流通はしていないようだ。今後、量産化が進み、日本でも気軽に手に入る日が来ることを待ち遠しく思う。
未来の生活を支える”藻類”プラスチック
「1人 1日 約200g」 この数字は、日本人1人が1日に捨てるプラスチックの量である。プラスチックは石油を精製したエチレンやプロピレンなどからできているが、石油はこのまま使い続けると後50年ほどで枯渇するだろうと言われている。そのため、石油を原料としない「バイオプラスチック」が世界中で注目されている。 未来の私たちの生活を支えるバイオプラスチック バイオプラスチックの原料となるのは、トウモロコシ等の穀物資源、サトウキビ等から取り出される糖類が主体である。バイオプラスチックの一種であるポリ乳酸(PLA)は、デンプンの発酵によってできた乳酸が化学反応することで精製される。一方で、トウモロコシやサトウキビを原料とすることは、有限な農場において人々への食糧の供給を減らすことにも繋がるため、農作物以外の原料を探索する研究も進んでいる。例えば、微生物による発酵やセルロース(食物繊維)を用いたバイオプラスチックの生産が試みられているが、中には、藻類を原料とした生産に着手した企業もある。米企業ALGIXは、藻類からプラスチック素材を製造することに成功し、同社の製品は包装材、園芸用資材、電子機器等に活用されている。 藻類を用いたバイオプラスチックへの注目 このようにバイオプラスチックに注目が集まる中、藻類を原料としたユニークなプラスチック製品を発見したので紹介したい。「Ooho」と名付けられたその製品は、ロンドンの学生達がペットボトルの廃棄量削減を目指して発明した、”食べられる”ボトルだ。この製品は、植物や海藻(褐藻)から抽出した天然素材で作られていて、4~6週間で分解される。そのため、従来のペットボトルと異なり、このまま土や海に捨てたとしても自然に分解される。また、ジェル状の膜で水を覆ってあるため、清潔な水を持ち運ぶことができ、且つOohoを割って中の水を飲むこと、そのままOohoを食べることも可能である。さらに環境に優しいことに、同じ量のプラスチックを作るのに対し、Oohoの製造に必要な二酸化炭素量は5分の1であり、エネルギーも9分の1で済む。是非とも下の動画でこのユニークな製品をご覧いただきたい。 Oohoを製造しているSkipping Rocks Labのホームページによると、現時点では残念ながらイベント等での小規模な販売のみで、一般流通はしていないようだ。今後、量産化が進み、日本でも気軽に手に入る日が来ることを待ち遠しく思う。

バイオ燃料で注目が集まる、「藻」という生き物の魅力とは?
35億年前に「光合成」という反応を世に生み出し、大気を生み、多くの生物を絶滅させ、そしてまた生み出してきた藻。技術の進歩がめまぐるしい現代においても、結局ヒトは、藻が作り上げてきた地球の生態系の中の一コマに過ぎず、その事実はこれからも変わることはありません。 生活が豊かになり、様々な価値観が生まれたことで何が正解かが見えにくい時代になっていますが、そんな現代だからこそ、この「藻」という原点となる生物と向き合うことに価値があるのではないかと思います。 このページでは藻という生き物の魅力を、歴史を紐解きながらお伝えしたいと思います。直近で話題になっているバイオ燃料(SAF/燃料)の基点となっている藻類とは・・・。 藻類とは何か? 「藻」ですが、どんな生き物かご存知でしょうか? 身近なところで言えば、池や水田でよく見かける緑色の水を思い浮かべてください。あの緑の水の中には、肉眼では見えない多種多様な小さな緑色の生物が存在しています。水中にいる、体長1ミリにも満たない主に緑の生物、これを本サイトでは『藻類(※)』と呼んでいます。 商業利用されている代表的な藻類©2017 ちとせ研究所 ※生物学的に厳密に言えば、『藻類』のカテゴリーにはワカメや昆布などの海藻や、光合成もしない原生動物も入ってくるのですが、それらを指す際は別の言葉で言い分けて記載しています。本コラムでの『藻類』という単語は、特に断りがない限り『微細藻類』のことを指しています。 藻類と人類の関わり 藻類は、植物と同様に光合成をするため「小さな植物」と呼ばれることもありますが、実は進化の過程においては藻類こそが植物の祖先にあたります。 食料も化石燃料も、元を辿れば藻類から 藻類の起源は約35億年前までにさかのぼります。地球が誕生したのが46億年前で、現在の人類(ホモ・サピエンス)が誕生したのが20万年前と言われていますから、藻類の起源がいかに古いものかお分かりいただけるかと思います。 藻類は水中での進化を重ね、約5億年前に上陸。コケ植物、シダ植物を経て、今の我々の身の回りにある植物へと進化しました。この藻類から植物への進化の過程において、大量に繁茂したバイオマス(※)の残骸が地中に堆積し、長い年月をかけて化石資源へと変換されたといわれています。つまり、現代人は藻類から植物への進化の蓄積を掘り起こし、エネルギー源や化成品原料として利用しながら生活しているわけです。 また、現代の植物は藻類の子孫になりますが、人類はその植物を農作物として直接的・間接的に食することによって日々生きています。 ©2017 ちとせ研究所 このように、藻類が存在したことによって今の人類の生活は成り立っており、藻類は人類の生活の基盤を支えている原点といっても過言ではありません。さらに驚くことに、藻類は今もなお太古の昔と変わらぬ姿で、地球上に繁茂し続けているのです。 ※バイオマスとは:動植物そのものや、その副産物などエネルギー源として利用できるものの総称 藻類の産業ポテンシャル 人類と藻類の関わりについて理解していだたいたところで、次は産業としての藻類の可能性について説明していきたいと思います。 藻類は様々な産業分野で利用可能 藻類は植物と同様に、『光合成』で増えます。光合成は文字通り、光のエネルギーを利用して様々な物質を合成する反応です。光合成の主原料は二酸化炭素(CO2)で、その他に窒素、リン、カリウム、ミネラルといった無機物を取り込みながら複雑な化合物を合成していきます。 光合成によって合成された種々の化合物は、各産業の原料として利用することができるため、藻類は様々な産業分野に展開することが可能になります。 ©2017 ちとせ研究所 藻類が合成できる化合物を市場規模と単価で整理して、順番に並べていくと3つの大きな分野に分けられます。この3つの分野をバイオ業界では色に例えて以下のように表現しています。 ●『レッドバイオ』(高単価 / 市場小):医薬品原料や機能性素材をメインとした医薬・健康に関連する分野...
バイオ燃料で注目が集まる、「藻」という生き物の魅力とは?
35億年前に「光合成」という反応を世に生み出し、大気を生み、多くの生物を絶滅させ、そしてまた生み出してきた藻。技術の進歩がめまぐるしい現代においても、結局ヒトは、藻が作り上げてきた地球の生態系の中の一コマに過ぎず、その事実はこれからも変わることはありません。 生活が豊かになり、様々な価値観が生まれたことで何が正解かが見えにくい時代になっていますが、そんな現代だからこそ、この「藻」という原点となる生物と向き合うことに価値があるのではないかと思います。 このページでは藻という生き物の魅力を、歴史を紐解きながらお伝えしたいと思います。直近で話題になっているバイオ燃料(SAF/燃料)の基点となっている藻類とは・・・。 藻類とは何か? 「藻」ですが、どんな生き物かご存知でしょうか? 身近なところで言えば、池や水田でよく見かける緑色の水を思い浮かべてください。あの緑の水の中には、肉眼では見えない多種多様な小さな緑色の生物が存在しています。水中にいる、体長1ミリにも満たない主に緑の生物、これを本サイトでは『藻類(※)』と呼んでいます。 商業利用されている代表的な藻類©2017 ちとせ研究所 ※生物学的に厳密に言えば、『藻類』のカテゴリーにはワカメや昆布などの海藻や、光合成もしない原生動物も入ってくるのですが、それらを指す際は別の言葉で言い分けて記載しています。本コラムでの『藻類』という単語は、特に断りがない限り『微細藻類』のことを指しています。 藻類と人類の関わり 藻類は、植物と同様に光合成をするため「小さな植物」と呼ばれることもありますが、実は進化の過程においては藻類こそが植物の祖先にあたります。 食料も化石燃料も、元を辿れば藻類から 藻類の起源は約35億年前までにさかのぼります。地球が誕生したのが46億年前で、現在の人類(ホモ・サピエンス)が誕生したのが20万年前と言われていますから、藻類の起源がいかに古いものかお分かりいただけるかと思います。 藻類は水中での進化を重ね、約5億年前に上陸。コケ植物、シダ植物を経て、今の我々の身の回りにある植物へと進化しました。この藻類から植物への進化の過程において、大量に繁茂したバイオマス(※)の残骸が地中に堆積し、長い年月をかけて化石資源へと変換されたといわれています。つまり、現代人は藻類から植物への進化の蓄積を掘り起こし、エネルギー源や化成品原料として利用しながら生活しているわけです。 また、現代の植物は藻類の子孫になりますが、人類はその植物を農作物として直接的・間接的に食することによって日々生きています。 ©2017 ちとせ研究所 このように、藻類が存在したことによって今の人類の生活は成り立っており、藻類は人類の生活の基盤を支えている原点といっても過言ではありません。さらに驚くことに、藻類は今もなお太古の昔と変わらぬ姿で、地球上に繁茂し続けているのです。 ※バイオマスとは:動植物そのものや、その副産物などエネルギー源として利用できるものの総称 藻類の産業ポテンシャル 人類と藻類の関わりについて理解していだたいたところで、次は産業としての藻類の可能性について説明していきたいと思います。 藻類は様々な産業分野で利用可能 藻類は植物と同様に、『光合成』で増えます。光合成は文字通り、光のエネルギーを利用して様々な物質を合成する反応です。光合成の主原料は二酸化炭素(CO2)で、その他に窒素、リン、カリウム、ミネラルといった無機物を取り込みながら複雑な化合物を合成していきます。 光合成によって合成された種々の化合物は、各産業の原料として利用することができるため、藻類は様々な産業分野に展開することが可能になります。 ©2017 ちとせ研究所 藻類が合成できる化合物を市場規模と単価で整理して、順番に並べていくと3つの大きな分野に分けられます。この3つの分野をバイオ業界では色に例えて以下のように表現しています。 ●『レッドバイオ』(高単価 / 市場小):医薬品原料や機能性素材をメインとした医薬・健康に関連する分野...

宇宙藻類の時代到来・・
『宇宙兄弟』という漫画をご存知だろうか。宇宙を目指す兄弟の物語なのだが、綿密な取材を元に構成されているストーリーはもとより、ちょい役の登場人物一人一人にさえ人生を感じる丁寧な作り込みに圧倒される名作である。まだ読まれたことの無い方は機会があれば是非手にとってみていただきたい。 さて、そんな宇宙兄弟になぞらえて今回は『宇宙藻類』と題し、宇宙開発に関する藻類研究をいくつかご紹介したい。 そもそも宇宙と藻類に接点があるの?と思われる方も多いかと思うが、実はかなり古くから注目され、研究が行われている分野である。それというのも宇宙空間に長期間滞在するためには空気(酸素)と食料の自給が求められることになるが、その自給システムに藻類を利用しようというアイデアがあるためである。 藻類は宇宙飛行士が吐き出す二酸化炭素を吸収して酸素を供給することができ、増えた藻体は栄養食として食べることができる一石二鳥の材料となる。しかも植物と比べて栽培のためのスペースや資源が少なくすみ、育つまでの時間も短いという利点も持っているので、宇宙との相性が抜群に良いのだ。 このような宇宙空間での藻類利用を念頭に、2017年12月15日にESA(European Space Agency)のプロジェクトの一環として、生きたスピルリナが初めて宇宙ステーション(ISS)へと打ち上げられた。円筒形のフォトバイオリアクターに入れられたスピルリナは約1ヶ月間ISS内で培養されて、地球上と同じ速度で育って酸素も生成することが確認された。この1ヵ月間の培養期間に4回サンプリングが行われ、それと合わせて培地も4回入れ替えて試験が行われた模様だ。 無重力空間下における液体培養の場合は、液体中への二酸化炭素の供給および発生した酸素の除去が課題になるが、資料をみている限りは気体と液体をガス透過膜のようなもので仕切り、圧力をかけて強制的にガス交換を行う仕組みとなっているようだ。この辺の詳細情報は論文として公開された際にも確かめたい。 Green smoothies in space この記事をesa.intで読む > この試験の装置作成、宇宙ステーションでの実験計画、戻ってきてからのサンプル測定などの様子が資料としてまとめられて公表されていたので、興味のある方は以下の資料にも目を通してみていただければと思う。写真も多く、研究者達の楽しそうな雰囲気が伝わってくる。自分達が作った実験装置が宇宙船(SpaceX)で打ち上げられて、宇宙で実験されて、そのサンプルを分析できる、なんていうシチュエーションを与えられたら研究者だったら誰でも盛り上がるだろう。 また、2018年9月にはNASAでも宇宙ステーションにスピルリナを打ち上げ、微小重力下での増殖能を確認するための試験が行われている。こちらはNASAが企画する『皆のためISS科学(ISS Science for Everyone)』というプログラムの一環として、高校生のチームから応募されたアイデアを元にして行われたようだ。 SFみたいなテーマを高校生のチームが提案して、それを宇宙で実際に試験しちゃうなんて、私が高校生だった時には想像すらできなかった世界である。20年でここまで時代が変わるのであれば、20年後には月に人が住み、火星へ到着した人類がいてもおかしくはない。人が想像できる範囲というのは、いずれ実現できるものなのだなぁとシミジミ感じる。 NASA NASA – NanoRacks-Modesto Christian School-Comparing the Growth of Spirulina...
宇宙藻類の時代到来・・
『宇宙兄弟』という漫画をご存知だろうか。宇宙を目指す兄弟の物語なのだが、綿密な取材を元に構成されているストーリーはもとより、ちょい役の登場人物一人一人にさえ人生を感じる丁寧な作り込みに圧倒される名作である。まだ読まれたことの無い方は機会があれば是非手にとってみていただきたい。 さて、そんな宇宙兄弟になぞらえて今回は『宇宙藻類』と題し、宇宙開発に関する藻類研究をいくつかご紹介したい。 そもそも宇宙と藻類に接点があるの?と思われる方も多いかと思うが、実はかなり古くから注目され、研究が行われている分野である。それというのも宇宙空間に長期間滞在するためには空気(酸素)と食料の自給が求められることになるが、その自給システムに藻類を利用しようというアイデアがあるためである。 藻類は宇宙飛行士が吐き出す二酸化炭素を吸収して酸素を供給することができ、増えた藻体は栄養食として食べることができる一石二鳥の材料となる。しかも植物と比べて栽培のためのスペースや資源が少なくすみ、育つまでの時間も短いという利点も持っているので、宇宙との相性が抜群に良いのだ。 このような宇宙空間での藻類利用を念頭に、2017年12月15日にESA(European Space Agency)のプロジェクトの一環として、生きたスピルリナが初めて宇宙ステーション(ISS)へと打ち上げられた。円筒形のフォトバイオリアクターに入れられたスピルリナは約1ヶ月間ISS内で培養されて、地球上と同じ速度で育って酸素も生成することが確認された。この1ヵ月間の培養期間に4回サンプリングが行われ、それと合わせて培地も4回入れ替えて試験が行われた模様だ。 無重力空間下における液体培養の場合は、液体中への二酸化炭素の供給および発生した酸素の除去が課題になるが、資料をみている限りは気体と液体をガス透過膜のようなもので仕切り、圧力をかけて強制的にガス交換を行う仕組みとなっているようだ。この辺の詳細情報は論文として公開された際にも確かめたい。 Green smoothies in space この記事をesa.intで読む > この試験の装置作成、宇宙ステーションでの実験計画、戻ってきてからのサンプル測定などの様子が資料としてまとめられて公表されていたので、興味のある方は以下の資料にも目を通してみていただければと思う。写真も多く、研究者達の楽しそうな雰囲気が伝わってくる。自分達が作った実験装置が宇宙船(SpaceX)で打ち上げられて、宇宙で実験されて、そのサンプルを分析できる、なんていうシチュエーションを与えられたら研究者だったら誰でも盛り上がるだろう。 また、2018年9月にはNASAでも宇宙ステーションにスピルリナを打ち上げ、微小重力下での増殖能を確認するための試験が行われている。こちらはNASAが企画する『皆のためISS科学(ISS Science for Everyone)』というプログラムの一環として、高校生のチームから応募されたアイデアを元にして行われたようだ。 SFみたいなテーマを高校生のチームが提案して、それを宇宙で実際に試験しちゃうなんて、私が高校生だった時には想像すらできなかった世界である。20年でここまで時代が変わるのであれば、20年後には月に人が住み、火星へ到着した人類がいてもおかしくはない。人が想像できる範囲というのは、いずれ実現できるものなのだなぁとシミジミ感じる。 NASA NASA – NanoRacks-Modesto Christian School-Comparing the Growth of Spirulina...

【スピルリナStyle】鮮やかなグリーンビール@シンガポール
MATSURIプロジェクト編集局としては見逃せない、シンガポール生まれの、スピルリナを使ったグリーンビールに関するコラムです。 これはReddot Brewhouseが製造している、RED DOT Monster Green Lager Beer (モンスターグリーン ラガービール)です。 なんといっても、この色鮮やかなスパークリンググリーンの色が特徴です。スピルリナビールの色は、青色のフィコシアニン、緑色のクロロフィル、橙色のβカロテンと抗酸化作用をもつ天然色素であり、健康に良い色です。※RED DOT Monster Green Lager Beerの栄養成分は分からないため、正確な事は言えません。 Reddot Brewhouseの方にお聞きしたところ、「着色料は使用していません。brewing(醸造)の段階でスピルリナを入れています。」とのことでした。 スピルリナはたんぱく質が70%と豊富で、ビタミン、ミネラルをバランスよく含むため、スピルリナを摂取することで得られるヒトへの良い機能は数多く報告されています。ビールの発酵に欠かせないビール酵母にとっても、スピルリナは良いエサになりそうです。 RED DOT Monster Green Lager Beerは、苦味は控え目、アルコールは5%です。スピルリナビールは麦芽比率からビールの定義をクリアしていますが、ビールの副原料の定義にスピルリナは認められていないので、正確には発泡酒の分類になります。 Reddot Brewhouseはシンガポール植物園(Singapore Botanic Garden)近く, Dempsey hillにある醸造所です。7種類の自家製クラフトビールとお食事が楽しめる、緑に囲まれたビアレストランが併設されています。 REDDOT BREWHOUSE Dempsey Road...
【スピルリナStyle】鮮やかなグリーンビール@シンガポール
MATSURIプロジェクト編集局としては見逃せない、シンガポール生まれの、スピルリナを使ったグリーンビールに関するコラムです。 これはReddot Brewhouseが製造している、RED DOT Monster Green Lager Beer (モンスターグリーン ラガービール)です。 なんといっても、この色鮮やかなスパークリンググリーンの色が特徴です。スピルリナビールの色は、青色のフィコシアニン、緑色のクロロフィル、橙色のβカロテンと抗酸化作用をもつ天然色素であり、健康に良い色です。※RED DOT Monster Green Lager Beerの栄養成分は分からないため、正確な事は言えません。 Reddot Brewhouseの方にお聞きしたところ、「着色料は使用していません。brewing(醸造)の段階でスピルリナを入れています。」とのことでした。 スピルリナはたんぱく質が70%と豊富で、ビタミン、ミネラルをバランスよく含むため、スピルリナを摂取することで得られるヒトへの良い機能は数多く報告されています。ビールの発酵に欠かせないビール酵母にとっても、スピルリナは良いエサになりそうです。 RED DOT Monster Green Lager Beerは、苦味は控え目、アルコールは5%です。スピルリナビールは麦芽比率からビールの定義をクリアしていますが、ビールの副原料の定義にスピルリナは認められていないので、正確には発泡酒の分類になります。 Reddot Brewhouseはシンガポール植物園(Singapore Botanic Garden)近く, Dempsey hillにある醸造所です。7種類の自家製クラフトビールとお食事が楽しめる、緑に囲まれたビアレストランが併設されています。 REDDOT BREWHOUSE Dempsey Road...

一生に一度は見てみたい! -藻が作り出す絶景7選-
昨今、藻といえばタンパク質等の栄養面や燃料利用に注目が集まりがちだが、藻の持つ色素も同様に重要な特性だ。昨今、藻といえばタンパク質等の栄養面や燃料利用に注目が集まりがちだが、藻の持つ色素も同様に重要な特性だ。 1.クリミア半島の赤く染まる海(ウクライナ) まず紹介したいのは、ジブリ作品「風の谷のナウシカ」に登場する「腐海」のモデルとなった、ウクライナのアゾフ海の西岸に広がる干潟だ。これは、微細藻類ドナリエラ(Dunaliella)が増殖することによって、海が赤く染まって見えるのだそうだ。 2.ナクル湖のフラミンゴ (ケニア) Kenya Connection: Lake Nakuru, Flamingos, A New Friend – TravelUpdate Shadrack and I made an instant Kenya connection after I brazenly asked if I could...
一生に一度は見てみたい! -藻が作り出す絶景7選-
昨今、藻といえばタンパク質等の栄養面や燃料利用に注目が集まりがちだが、藻の持つ色素も同様に重要な特性だ。昨今、藻といえばタンパク質等の栄養面や燃料利用に注目が集まりがちだが、藻の持つ色素も同様に重要な特性だ。 1.クリミア半島の赤く染まる海(ウクライナ) まず紹介したいのは、ジブリ作品「風の谷のナウシカ」に登場する「腐海」のモデルとなった、ウクライナのアゾフ海の西岸に広がる干潟だ。これは、微細藻類ドナリエラ(Dunaliella)が増殖することによって、海が赤く染まって見えるのだそうだ。 2.ナクル湖のフラミンゴ (ケニア) Kenya Connection: Lake Nakuru, Flamingos, A New Friend – TravelUpdate Shadrack and I made an instant Kenya connection after I brazenly asked if I could...

藻は世界のサンゴを救う?
藻は世界のサンゴを救う? サンゴ礁は、最も多様な海洋生息地と言われており、実に様々な生き物が住んでいる。その生き物を餌にして育つ魚を、あなたは昨日食べたかもしれない。また、美しいサンゴ礁が広がる海で、シュノーケルやダイビングなど楽しんだ経験がある方もいることだろう。サンゴ礁は、漁業や観光業など世界で年間300億ドルの経済効果をもたらし、5億人の生活に直接関与しているのだ。 しかし、サンゴ礁の保全対策を直ちに行わなければ、全世界のサンゴ礁の99%が今世紀中に絶滅する、と気候変動影響モデルの研究は予測している。 サンゴは褐虫藻に頼って生きている 動物であるサンゴは、褐虫藻と呼ばれる単細胞藻類(Symbiodinium属の渦鞭毛藻)と共生関係を結ぶことで生存を維持している。褐虫藻はサンゴの成長やサンゴ礁の形成に必要な物質(酸素や栄養分などの光合成産物)をサンゴへ供給し、その代わりに光合成に必要な窒素、リンなどをサンゴからもらっている。 褐虫藻から栄養をもらう以外にも、触手で動物プランクトンを捕食するそうだが、そこから得られる栄養だけでは健全な生育が難しいと言われている。 褐虫藻と離れ離れになったサンゴの結末 近年、温暖化に伴う水温上昇により褐虫藻の光合成系が損傷され、またサンゴから放出されることでサンゴ骨格が透けて見える状態になるという、サンゴの白化現象が世界中の海に広がっている。栄養供給を褐虫藻に依存しているサンゴは、長時間にわたり褐虫藻との共生関係を失うと最終的に死んでしまう。 褐虫藻が共生しているサンゴ(左)と褐虫藻がいなくなり白化したサンゴ(右)引用元:https://oceanservice.noaa.gov/education/kits/corals/media/supp_coral02d.html サンゴの白化を防ぐには、ストレス耐性をもつ褐虫藻が鍵? 褐虫藻の種間遺伝的多様性がサンゴの白化耐性に大きく関与することが知られている。オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学(University of New South Wales)に所属するレイチェル・レビン(Rachel Levin)博士の研究チームは、褐虫藻のシークエンシングデータを用いて、ストレス耐性の増加を図る褐虫藻の遺伝子組換え戦略を立てた。その研究結果は2017年6月30日、ジャーナルFront. Microbiol.に公開された。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5492045/ 「褐虫藻についてはほとんど知られていないため、サンゴ礁保全行動を改善するための情報が得られない。」「褐虫藻は生物学的に非常に独特であり、今まで確立された遺伝工学の手法は適用しない。必要とされる研究を進展するため、我々は褐虫藻の新たな遺伝子解析を行い、その障害(遺伝子組み換え技術の確立)を克服することを目指していた。」とレイチェル・レビン氏が褐虫藻研究の困難性について説明している。 研究者らは、サンゴの白化を防ぐ可能性のある遺伝子(抗酸化遺伝子など)を特定した。「水温が徐々に上昇している海洋環境下でサンゴとの共生が維持できるように、遺伝子工学手法により強化された褐虫藻は、世界的なサンゴの白化現象を減らす可能性を示唆する」と彼らは語った。 しかし、遺伝子工学手法により開発した褐虫藻を環境中へ放出することに関しては、「フィールドベースの試験が始まる前に、潜在的なマイナスのリスクについて広く厳密に研究することが必ず必要だ」と強調した。 また、最近、米・ペンシルベニア州立大学(The Pennsylvania State University)の研究者たちはストレス耐性をもつ新種の褐虫藻(Symbiodinium glynnii)を同定した。この種類の褐虫藻と共生するサンゴが頑強であり、他の褐虫藻種と共生するサンゴにとって酷な環境にも耐えられることが分かった。 どうやら、ストレスに強い褐虫藻が、サンゴを救う鍵となっていくであろう。 参考資料:A super-algae to...
藻は世界のサンゴを救う?
藻は世界のサンゴを救う? サンゴ礁は、最も多様な海洋生息地と言われており、実に様々な生き物が住んでいる。その生き物を餌にして育つ魚を、あなたは昨日食べたかもしれない。また、美しいサンゴ礁が広がる海で、シュノーケルやダイビングなど楽しんだ経験がある方もいることだろう。サンゴ礁は、漁業や観光業など世界で年間300億ドルの経済効果をもたらし、5億人の生活に直接関与しているのだ。 しかし、サンゴ礁の保全対策を直ちに行わなければ、全世界のサンゴ礁の99%が今世紀中に絶滅する、と気候変動影響モデルの研究は予測している。 サンゴは褐虫藻に頼って生きている 動物であるサンゴは、褐虫藻と呼ばれる単細胞藻類(Symbiodinium属の渦鞭毛藻)と共生関係を結ぶことで生存を維持している。褐虫藻はサンゴの成長やサンゴ礁の形成に必要な物質(酸素や栄養分などの光合成産物)をサンゴへ供給し、その代わりに光合成に必要な窒素、リンなどをサンゴからもらっている。 褐虫藻から栄養をもらう以外にも、触手で動物プランクトンを捕食するそうだが、そこから得られる栄養だけでは健全な生育が難しいと言われている。 褐虫藻と離れ離れになったサンゴの結末 近年、温暖化に伴う水温上昇により褐虫藻の光合成系が損傷され、またサンゴから放出されることでサンゴ骨格が透けて見える状態になるという、サンゴの白化現象が世界中の海に広がっている。栄養供給を褐虫藻に依存しているサンゴは、長時間にわたり褐虫藻との共生関係を失うと最終的に死んでしまう。 褐虫藻が共生しているサンゴ(左)と褐虫藻がいなくなり白化したサンゴ(右)引用元:https://oceanservice.noaa.gov/education/kits/corals/media/supp_coral02d.html サンゴの白化を防ぐには、ストレス耐性をもつ褐虫藻が鍵? 褐虫藻の種間遺伝的多様性がサンゴの白化耐性に大きく関与することが知られている。オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学(University of New South Wales)に所属するレイチェル・レビン(Rachel Levin)博士の研究チームは、褐虫藻のシークエンシングデータを用いて、ストレス耐性の増加を図る褐虫藻の遺伝子組換え戦略を立てた。その研究結果は2017年6月30日、ジャーナルFront. Microbiol.に公開された。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5492045/ 「褐虫藻についてはほとんど知られていないため、サンゴ礁保全行動を改善するための情報が得られない。」「褐虫藻は生物学的に非常に独特であり、今まで確立された遺伝工学の手法は適用しない。必要とされる研究を進展するため、我々は褐虫藻の新たな遺伝子解析を行い、その障害(遺伝子組み換え技術の確立)を克服することを目指していた。」とレイチェル・レビン氏が褐虫藻研究の困難性について説明している。 研究者らは、サンゴの白化を防ぐ可能性のある遺伝子(抗酸化遺伝子など)を特定した。「水温が徐々に上昇している海洋環境下でサンゴとの共生が維持できるように、遺伝子工学手法により強化された褐虫藻は、世界的なサンゴの白化現象を減らす可能性を示唆する」と彼らは語った。 しかし、遺伝子工学手法により開発した褐虫藻を環境中へ放出することに関しては、「フィールドベースの試験が始まる前に、潜在的なマイナスのリスクについて広く厳密に研究することが必ず必要だ」と強調した。 また、最近、米・ペンシルベニア州立大学(The Pennsylvania State University)の研究者たちはストレス耐性をもつ新種の褐虫藻(Symbiodinium glynnii)を同定した。この種類の褐虫藻と共生するサンゴが頑強であり、他の褐虫藻種と共生するサンゴにとって酷な環境にも耐えられることが分かった。 どうやら、ストレスに強い褐虫藻が、サンゴを救う鍵となっていくであろう。 参考資料:A super-algae to...

宇宙開発とスピルリナ -NASAもJAXAも注目の藻類食糧-
栄養価とタンパク質含量の多さから、宇宙開発においても食用藻類スピルリナの有用性が注目されています。米国航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)では研究が進んでいます。 日本でもスピルリナの宇宙に向けた研究が進んでいます。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、ちとせグループとの宇宙開発研究について、ここでご紹介いたします。 JAXAとのスピルリナ宇宙開発研究 ちとせグループでは、2018年から2019年にわたりJAXAらと一緒に「食用藻類スピルリナを用いた省資源かつコンパクトなタンパク質生産システムの開発」を行いました(ちとせグループの参画企業;(株)ちとせ研究所・(株)タベルモ)。先の研究開発を受けて、2020年にはJAXAとシダックスグループと「月面農場における食用藻類スピルリナの循環型培養システムの改良と生スピルリナ入りメニュー開発」の共同研究を行っています(ちとせグループの参画企業;(株)タベルモ)。 2019年までの研究では、宇宙利用を想定したスピルリナ生産システムの開発に成功しました。2020年はJAXAの協力を受け、実用化に向けさらなるスピルリナ生産システムの改良を行う予定です。さらに、長期滞在する宇宙飛行士が月面農場でスピルリナを培養することを想定し、シダックスグループと共同で栄養価の高い生スピルリナを取り入れた月面滞在食メニューの開発を行っています。 また、2021年度は『国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船内環境を利用する実験テーマ(フィジビリティスタディテーマ)』に採択されました。テーマ名「効率的なタンパク質生産とCO2処理を目指したスピルリナの担持体培養実証」を行います。ここでは、宇宙飛行士の健康に重要なISSで育てたスピルリナの生物学的安定性の解析と、スピルリナ培養によるISS内の空気再生可能とする先進的な培養システムの構築を目的に、地上での実験を開始します(ちとせグループの参画企業;(株)ちとせ研究所・(株)タベルモ)。 宇宙で藻類、スピルリナが食べられる日が着実に近づいているのを感じます。 宇宙開発に”生”スピルリナを使用しなければいけない理由 現在、地上で流通している一般的なスピルリナは、加熱滅菌をすることで長期保存を可能としているため乾燥粉末になっています。 しかし宇宙環境では、培養して、すぐに食べる(食材として利用する)ことが想定されるので、非加熱の生スピルリナを使ったメニューを開発する必要がでてきます。生スピルリナは加熱乾燥スピルリナに比べ味や臭いがなく、熱で壊れやすい栄養成分も損なわれずに摂取できるなど、食品として加熱乾燥スピルリナとは性質が大きく異なります。 宇宙開発の研究に必要な「生スピルリナ」を生産、販売している企業は世界でも僅かです。ちとせグループの(株)タベルモは、国内唯一の生スピルリナメーカーであり、また世界的にも唯一大規模に生スピルリナを製品化できているメーカーです。 ちとせグループは、本研究を通して、生スピルリナの認知拡大と研究を推し進め、地球環境にも宇宙環境にも良いタンパク質源を提供していきたいと考えております。
宇宙開発とスピルリナ -NASAもJAXAも注目の藻類食糧-
栄養価とタンパク質含量の多さから、宇宙開発においても食用藻類スピルリナの有用性が注目されています。米国航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)では研究が進んでいます。 日本でもスピルリナの宇宙に向けた研究が進んでいます。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、ちとせグループとの宇宙開発研究について、ここでご紹介いたします。 JAXAとのスピルリナ宇宙開発研究 ちとせグループでは、2018年から2019年にわたりJAXAらと一緒に「食用藻類スピルリナを用いた省資源かつコンパクトなタンパク質生産システムの開発」を行いました(ちとせグループの参画企業;(株)ちとせ研究所・(株)タベルモ)。先の研究開発を受けて、2020年にはJAXAとシダックスグループと「月面農場における食用藻類スピルリナの循環型培養システムの改良と生スピルリナ入りメニュー開発」の共同研究を行っています(ちとせグループの参画企業;(株)タベルモ)。 2019年までの研究では、宇宙利用を想定したスピルリナ生産システムの開発に成功しました。2020年はJAXAの協力を受け、実用化に向けさらなるスピルリナ生産システムの改良を行う予定です。さらに、長期滞在する宇宙飛行士が月面農場でスピルリナを培養することを想定し、シダックスグループと共同で栄養価の高い生スピルリナを取り入れた月面滞在食メニューの開発を行っています。 また、2021年度は『国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船内環境を利用する実験テーマ(フィジビリティスタディテーマ)』に採択されました。テーマ名「効率的なタンパク質生産とCO2処理を目指したスピルリナの担持体培養実証」を行います。ここでは、宇宙飛行士の健康に重要なISSで育てたスピルリナの生物学的安定性の解析と、スピルリナ培養によるISS内の空気再生可能とする先進的な培養システムの構築を目的に、地上での実験を開始します(ちとせグループの参画企業;(株)ちとせ研究所・(株)タベルモ)。 宇宙で藻類、スピルリナが食べられる日が着実に近づいているのを感じます。 宇宙開発に”生”スピルリナを使用しなければいけない理由 現在、地上で流通している一般的なスピルリナは、加熱滅菌をすることで長期保存を可能としているため乾燥粉末になっています。 しかし宇宙環境では、培養して、すぐに食べる(食材として利用する)ことが想定されるので、非加熱の生スピルリナを使ったメニューを開発する必要がでてきます。生スピルリナは加熱乾燥スピルリナに比べ味や臭いがなく、熱で壊れやすい栄養成分も損なわれずに摂取できるなど、食品として加熱乾燥スピルリナとは性質が大きく異なります。 宇宙開発の研究に必要な「生スピルリナ」を生産、販売している企業は世界でも僅かです。ちとせグループの(株)タベルモは、国内唯一の生スピルリナメーカーであり、また世界的にも唯一大規模に生スピルリナを製品化できているメーカーです。 ちとせグループは、本研究を通して、生スピルリナの認知拡大と研究を推し進め、地球環境にも宇宙環境にも良いタンパク質源を提供していきたいと考えております。