「1人 1日 約200g」
この数字は、日本人1人が1日に捨てるプラスチックの量である。プラスチックは石油を精製したエチレンやプロピレンなどからできているが、石油はこのまま使い続けると後50年ほどで枯渇するだろうと言われている。そのため、石油を原料としない「バイオプラスチック」が世界中で注目されている。
未来の私たちの生活を支えるバイオプラスチック
バイオプラスチックの原料となるのは、トウモロコシ等の穀物資源、サトウキビ等から取り出される糖類が主体である。バイオプラスチックの一種であるポリ乳酸(PLA)は、デンプンの発酵によってできた乳酸が化学反応することで精製される。一方で、トウモロコシやサトウキビを原料とすることは、有限な農場において人々への食糧の供給を減らすことにも繋がるため、農作物以外の原料を探索する研究も進んでいる。例えば、微生物による発酵やセルロース(食物繊維)を用いたバイオプラスチックの生産が試みられているが、中には、藻類を原料とした生産に着手した企業もある。米企業ALGIXは、藻類からプラスチック素材を製造することに成功し、同社の製品は包装材、園芸用資材、電子機器等に活用されている。
藻類を用いたバイオプラスチックへの注目
このようにバイオプラスチックに注目が集まる中、藻類を原料としたユニークなプラスチック製品を発見したので紹介したい。「Ooho」と名付けられたその製品は、ロンドンの学生達がペットボトルの廃棄量削減を目指して発明した、”食べられる”ボトルだ。この製品は、植物や海藻(褐藻)から抽出した天然素材で作られていて、4~6週間で分解される。そのため、従来のペットボトルと異なり、このまま土や海に捨てたとしても自然に分解される。また、ジェル状の膜で水を覆ってあるため、清潔な水を持ち運ぶことができ、且つOohoを割って中の水を飲むこと、そのままOohoを食べることも可能である。さらに環境に優しいことに、同じ量のプラスチックを作るのに対し、Oohoの製造に必要な二酸化炭素量は5分の1であり、エネルギーも9分の1で済む。是非とも下の動画でこのユニークな製品をご覧いただきたい。
Oohoを製造しているSkipping Rocks Labのホームページによると、現時点では残念ながらイベント等での小規模な販売のみで、一般流通はしていないようだ。今後、量産化が進み、日本でも気軽に手に入る日が来ることを待ち遠しく思う。