欧州の藻類燃料以外の研究の変遷 part. 1

欧州の藻類燃料以外の研究の変遷 part. 1

これまで二回にわたり、欧州における藻類研究についての動向、藻類燃料研究の変遷についてご紹介してきた。

 


 

前回の記事でご紹介した通り、EUは燃料研究に傾斜していた時期から、燃料用途以外も見据えた総合的な微細藻類研究にシフトしてきている。今回は、微細藻類燃料関連以外で日本円換算にして1億円以上の予算がついているプロジェクトを紹介していく。なお、これらのプロジェクトはFP7, HORIZON2020と呼ばれる枠組みプログラムに含まれている。燃料以外の取り組みを赤字で示した一覧表が以下となる。これまでに燃料以外で1億円以上の予算がついているものが37プロジェクトがあり、今回はそのうちの19プロジェクトについて紹介する。

EUにおける燃料以外の微細藻類研究プロジェクト

微細藻類研究(燃料以外含む)に関するEU国内グラント一覧表/筆者作成

14)HARVEST : Control of Light Use Efficiency in Plants and Algae – From Light to Harvest.

【概要】過剰な光エネルギーに対する防御は、光合成生物の不可欠かつ普遍的な属性である。一方で、この属性により植物や微細藻類は光合成におけるエネルギー変換効率を制限しているとも言える。本研究では、光合成生物が持つナノスケールスイッチングプロセスについての解明を進め、光合成生物の光利用効率をコントロールできるようにすることを目指す。生物学的光適応の分子メカニズムを理解することは、農業と食糧安全保障、生物多様性と地球規模の気候変動、バイオ燃料生産など、生活の多くの側面に応用が可能な知見となる。植物のモデルとしてはシロイヌナズナを用い、微細藻類のモデルとしてはSynechocystis sp. PCC6803, Chlamydomonas reinhardtiiを用いる。
【委託先】<公的機関>原子力・新エネルギー庁(フランス)、マックス・プランク研究所(ドイツ)、生物研究センター(ハンガリー) <大学>アムステルダム自由大学(オランダ)*(中核機関)、ケンブリッジ大学(イギリス)、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学フランクフルト・アム・マイン(ドイツ)、フローニンゲン大学(オランダ)、ロンドン大学クイーン・メアリー(イギリス)、トゥルク大学(フィンランド)、ウメオ大学(スウェーデン)、ヴェローナ大学(イタリア)、ワーゲニンゲン大学(オランダ)、アムステルダム大学(オランダ) <企業>PHOTON SYSTEMS INSTRUMENTS SPOL SRO社(チェコ共和国)、 Plant Dynamics BV 社(オランダ)
【期間】2009年10月1日〜2013年9月30日
【費用】プロジェクト総費用4,683,560ユーロ(日本円換算609百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

15)BIOALGAESORB : Enabling European SMEs to remediate wastes, reduce GHG emissions and produce biofuels via microalgae cultivation.

【概要】工業用および農業用/水産用排水を用いて微細藻類を培養し、排水処理を行いながら有価物化生産することで、多様な事業分野での事業化を目指す。得られた微細藻類バイオマスは、カーボンニュートラルで環境的に持続可能な原材料となる。本プロジェクトでは、微細藻類の栄養源として排水を利用することで、排水量を削減しながら付加価値を持つ高品質バイオマスを生産するシステムの構築を目指す。
【委託先】<公的機関>EUROPEENNE POUR LA BIOMASSE AISBL(ベルギー)、TEKNOLOGISK INSTITUTT(ノルウェー)、HELLENIC CENTRE FOR MARINE RESEARCH(ギリシャ) <大学>スウォンジ大学(イギリス)、ダーラム大学(イギリス)、フィレンツェ大学(イタリア) <企業>Norsk Bioenergi Forening社(ノルウェー)*(中核機関)、BRITISH TROUT ASSOCIATION社(ベルギー)、SEA MARCONI TECHNOLOGIES DI VANDERTUMIATTI 社(イタリア)、IngrePro 社(オランダ)、VARICON AQUA SOLUTIONS社(イギリス)、VALUE FOR TECHNOLOGY 社(ベルギー)
【期間】2010年8月1日〜2013年7月31日
【費用】プロジェクト総費用3,955,729ユーロ(日本円換算514百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

16)ALGAECOM : Exploitation of microalgae diversity for the development of novel high added-value cosmeceuticals.

【概要】本プロジェクトでは、高付加価値化粧品の原料として微細藻類に注目する。
a)網羅的な解析を用いた多糖類、酵素、二次代謝物など付加価値物質の探索
b)ヒト表皮細胞系およびin vitro皮膚モデルを用いた、in vitroでの機能的特徴づけおよび毒物検査
c)アプリケーションベースでの微細藻類培養系の開発および最適化
d)大規模培養における微細藻類の炭水化物および多糖代謝のリアルタイムモニタリングのための分析用分子診断ツールを開発
e)微細藻類の化粧品処方およびin vitroでの評価を行う。
【委託先】<公的機関>フランス国立科学研究センター(フランス) <大学>アテネ農業大学(ギリシャ)*(中核機関) <企業>APIVITA KALLYNTIKA DIAITITIKA FARMAKA ANONYMI EMPORIKI KAI VIOTECHNIKI ETAIREIA社(ギリシャ)、FITOPLANCTON MARINO社(スペイン)
【期間】2011年10月1日〜2015年9月30日
【費用】プロジェクト総費用1,570,928ユーロ(日本円換算204百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

17)D-FACTORY : THE MICRO ALGAE BIOREFINER.

【概要】本プロジェクトは、好塩性微細藻類(Dunaliella)由来のバイオマスを利用した持続可能なバイオリファイナリーの世界基準モデルを設定することを目指す。Dunaliellaのバイオマス生産は、レースウェイ型ポンドと湖沼を使用し、生産された藻体は超臨界CO2を用いて分離精製される。カロテンおよび他の生物活性化合物、乳化剤、ポリマーなどを製造するために超薄膜ろ過技術を利用する。本デモプラントを利用して、微細藻類バイオリファイナリーのビジネスモデルを構築する。
【委託先】<公的機関>INSTITUTO DE BIOLOGIA EXPERIMENTAL E TECNOLOGICA(ポルトガル)、 IFEU – INSTITUT FUR ENERGIE UND UMWELTFORSCHUNG HEIDELBERG(ドイツ)、MARINE BIOLOGICAL ASSOCIATION OF THE UNITED KINGDOM(イギリス)、RISE RESEARCH INSTITUTES OF SWEDEN(スゥエーデン) <大学>グリーンウィッチ大学(イギリス)*(中核機関)、 アテネ工科大学(ギリシャ) <企業>NATECO2社(ドイツ)、 A4F ALGAFUEL社(ポルトガル)、DYNAMIC EXTRACTIONS社(イギリス)、EVODOS社(オランダ)、HAFREN INVESTMENT社(イギリス)、IN 社(イタリア)、HOPFENVEREDLUNG ST JOHANN社(ドイツ)、NATURE BETA TECHNOLOGIES社(イスラエル)、MONZON BIOTECH社(スペイン)
【期間】2011年10月1日〜2015年9月30日
【費用】プロジェクト総費用10,074,870ユーロ(日本円換算1,310百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

18)SOLALGEN : Hybrid Algae Cultivation System Based on Conditioned Environment with Efficient Light Collection and Distribution System.

【概要】本プロジェクトでは、微細藻類の生産を増加させるための低コストの光収集および分配システムを構築することを目指す。具体的には、屋外開放型ポンドの低い資本コストと運用コストをバイオリアクターの培養システムと組み合わせて、双方の培養技術の利点を反映させたハイブリッド型オープンポンド/フォトバイオリアクター技術を開発する。
【委託先】<大学>スウォンジ大学(イギリス)、ダーラム大学(イギリス)、フィレンツェ大学(イタリア) <企業>NOVAMINA CENTAR INOVATIVNIH TEHNOLOGIJA社(クロアチア)*(中核機関)、BIODIESEL CASTILLA LA MANCHA社(スペイン)、EMERGO社(クロアチア)、 ALGAELINK社(オランダ)、 IXSCIENT社(イギリス)、MICROSHARP CORPORATION社(イギリス)、TECHNOLOGIAS AVANZADAS INSPIRALIA社(スペイン)、PETROL SLOVENSKA ENERGETSKA DRUZBA DD LJUBLJANA社(スロベニア)
【期間】2011年12月1日〜2013年12月31日
【費用】プロジェクト総費用1,483,817ユーロ(日本円換算193百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

19)Operation SWAT : High algal recovery using a Salsnes Water to Algae Treatment(SWAT)filter technology.

【概要】本プロジェクトでは、排水処理技術から得られた経験を基にして、世界基準の微細藻類収穫技術を開発する。微細藻類を収穫する際には凝集剤とSalsnes Filterを用いる。この二つの技術を組み合わせたシステムを構築し、市場における現在の収穫機器より40%低いコストで95%の微細藻類の回収を達成する。また、その際の必要エネルギーとしては0.08kWh/m3未満を達成することを目指す。
【委託先】<公的機関>VLAAMSE INSTELLING VOOR TECHNOLOGISCH ONDERZOEK (ベルギー) <大学>リュブリャナ大学(スロベニア) <企業>SALSNES FILTER 社(ノルウェー)*(中核機関)、ASIO SPOL社(チェコ共和国)、 INWATEC SPOLKA Z OGARANICZONA ODPOWIEDZIALNOSCIA社(ポーランド)、Aquateam – Norwegian Water Technology Centre(ノルウェー)、THE UK HEALTH & ENVIRONMENT RESEARCH INSTITUTE社(イギリス)、FCC AQUALIA社(スペイン)、IGV INSTITUT FUR GETREIDEVERARBEITUNG社(ドイツ)
【期間】2011年11月1日〜2013年10月31日
【費用】プロジェクト総費用1,345,061ユーロ(日本円換算175百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

20)GIAVAP : Genetic Improvement of Algae for Value Added Products.

【概要】本プロジェクトの目的は、遺伝子組み換え技術を用いて微細藻類の代謝産物を効率的に生産させる。7つの微細藻類に遺伝子操作を行い、PUFA、カロテノイド、TAG、高価値の治療用タンパク質の産出を行う。本プロジェクトで用いられた微細藻類種は以下の通り(Phaeodactylum tricornutum, Parietochloris incise, Haematococcus pluvialis, Nannochloropsis oceanica, Ostreococcus taurii, Chlorella sp, Chlamydomonas reinhardtii)。
【委託先】<公的機関>ROTHAMSTED RESEARCH LIMITED(イギリス)、フランス国立科学研究センター(フランス) <大学>ベングリオン大学(イスラエル)*(中核機関)、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学フランクフルト・アム・マイン(ドイツ)、ゲオルク・アウグスト大学(ドイツ)、ロンドン大学(イギリス)、ル・マン大学(フランス)、フィレンツェ大学(イタリア) <企業>A4F ALGAFUEL社(ポルトガル)、ROSETTA GENOMICS社(イスラエル)、 ALGAE TECHNOLOGY社(イスラエル)、Nimrod Shaham & Amos Zamir Certified Public Accountants社(イスラエル)、ROSETTA GREEN社(イスラエル)、 A B SEEDS社(イスラエル)
【期間】2011年1月1日〜2013年12月31日
【費用】プロジェクト総費用7,184,970ユーロ(日本円換算934百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

21)SPLASH : Sustainable PoLymers from Algae Sugars and Hydrocarbons.

【概要】Botryococcus braunii種からの炭化水素および細胞外多糖類の持続可能な生産と回収ならびに再生可能なポリマーへの変換のための産業プラットフォーム開発を目指す。 炭化水素及び多糖類の生産については2つの生産方法を取っている。
(1)Botryococcus brauniiそれ自体から生産する方法
(2)Botryococcusから炭化水素及び多糖類を生産する遺伝子をChlamydomonas reinhardtiiに導入して生産する方法
【委託先】<公的機関>STICHTING WAGENINGEN RESEARCH(オランダ)*(中核機関)、ETHNIKO KENTRO EREVNAS KAI TECHNOLOGIKIS ANAPTYXIS(ギリシャ)、FRAUNHOFER GESELLSCHAFT ZUR FOERDERUNG DER ANGEWANDTEN FORSCHUNG(ドイツ) <大学>ケンブリッジ大学(イギリス)、ウェルバ大学(スペイン)、ワーゲニンゲン大学(オランダ)、ビーレフェルト大学(ドイツ)、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(ドイツ)、EGE大学(トルコ) <企業>ORGANIC WASTE SYSTEMS社(ベルギー)、PAQUES社(オランダ)、NIELS-HENRIK NORSKER社(デンマーク)、VALUE FOR TECHNOLOGY社(ベルギー)、AVANTIUM CHEMICALS社(オランダ)、LIFEGLIMMER社(ドイツ)、PURSUIT DYNAMICS社(イギリス)、NOVA-INSTITUT FUR POLITISCHE UND OKOLOGISCHE INNOVATION社(ドイツ)、PNO CONSULTANTS社(オランダ)、LANKHORST EURONETE PORTUGAL社(ポルトガル)、RHODIA OPERATIONS社(フランス)、CELLULAC LIMITED社(アイルランド)、NORSKER INVESTIGACIONES社(スペイン)、Fotosintetica & Microbiologica社(イタリア)
【期間】2012年9月1日〜2017年2月28日
【費用】プロジェクト総費用11,929,616ユーロ(日本円換算1,551百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

22)ALGADISK : Novel algae-based solution for CO2 capture and biomass production.

【概要】本プロジェクトは、バイオフィルムを利用した新型微細藻類培養装置の開発を目指す。バイオフィルムの形成は、微細藻類に広く観察される特性であり、管状、平板および他のフォトバイオリアクターにおける主な問題の1つである。本プロジェクトで用いるディスク型リアクターでは、特殊な設計によりバイオフィルム形成を強化し、高い乾燥固体含量のバイオマスの収穫、水分損失の低減、エネルギー消費の削減が期待できる。リアクターはモジュール式で拡張性があり、最適な範囲、リアルタイム(例えば、pHおよび培地の量、栄養濃度、温度)で増殖条件を追跡し、維持するセンサーおよび制御システムを含む。
【委託先】<公的機関>CESFAC – CONFEDERACION ESPANOLA DE FABRICANTES DE ALIMENTOS COMPUESTOS PARA ANIMALES(スペイン)*(中核機関)、EUROPEAN BIOMASS INDUSTRY ASSOCIATION(ベルギー)、FUNDACION CESFAC(スペイン)、BAY ZOLTAN ALKALMAZOTT KUTATASI KOZHASZNU NONPROFIT(ハンガリー) <大学>クランフィールド大学(イギリス)、ワーゲニンゲン大学(オランダ) <企業>ATEKNEA SOLUTIONS HUNGARY社(ハンガリー)、OLAJGEP-TEC IPARI KARBANTARTO, SZERELO社(ハンガリー)、BIOGAS FUEL CELL社(スペイン)、ONVIDA社(ドイツ)、UMWELT-TECHNIK CSOTISZTITO EPITO ES SZOLGALTATO 社(ハンガリー)、CAGLAR DOGAL URUNLER YENILENEBILIR ENERJI GUBRE GIDA VE TARIM ITHALAT IHRACAT SANAYI TICARET社(トルコ)、ALGEN, CENTER ZA ALGNE TEHNOLOGIJE社(スロベニア)
【期間】2012年1月1日〜2014年12月31日
【費用】プロジェクト総費用3,198,326ユーロ(日本円換算416百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

23)ClearWaterPMPC : Development of an efficient environmentally-friendly Algae Control System, based on ultrasound technology, designed for use in bigger ponds and lakes.

【概要】湖沼、大型池、貯水池、公共水域で大発生するシアノバクテリアは、毒素を出して大きな環境被害を与えている。これまでの微細藻類制御技術(例えば、曝気、化学的または生物学的添加剤など)は、大きな水域に関しては効果的でなく、頻繁なメンテナンスと投薬に伴う高い労働コストが発生する。本プロジェクトは、費用効果の高い新しい超音波に基づいた微細藻類制御技術を開発し、これらの課題の解決を目指す。
【委託先】<公的機関>TIME KOMMUNE(ノルウェー)、KLEPP KOMMUNE(ノルウェー)、TEKNOLOGISK INSTITUTT AS(ノルウェー)、HELLENIC CENTER FOR MARINE RESEARCH(ギリシャ)、INSTYTUT METEOROLOGII I GOSPODARKIWODNEJ – PANSTWOWY INSTYTUT BADAWCZY(ポーランド) <大学>カウナス工科大学(リトアニア) <企業>LG SOUND社(オランダ)*(中核機関)、SINAPTEC社(フランス)、INFORMASJONSKONTROLL 社(ノルウェー)
【期間】2012年1月1日〜2013年12月31日
【費用】プロジェクト総費用1,383 ,788ユーロ(日本円換算180百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

24)BISIGODOS : High value-added chemicals and BIoreSIns from algae biorefineries produced from CO2 provided by industrial emissions.

【概要】工業用排ガスからでるCO2を微細藻類で固定し、そのバイオマスから包装、コーティング、印刷、食品およびヘアケア用途向けの微細藻類由来化学物質、アミノ酸および高付加価値バイオ樹脂の生産を行う。この取り組みを通して以下の知見を得る
– 微細藻類の生産最適化およびCO2エネルギーバランス改善。ソフトウェアプログラムプロセスの実施によるバイオリアクターの最適化。
− ヘアケア、フレキシブルパッケージング、コーティング、食品用途向けの微細藻類由来化学物質の製造
– 微細藻類ベースのジオールやジイソシアネートなどの脂肪酸由来のバイオベースの化学物質の製造。技術経済的、環境的および規制上の観点から市場に藻類由来の製品が上市された場合の実際の知識。
【委託先】<公的機関>AIMPLAS – ASOCIACION DE INVESTIGACION DE MATERIALES PLASTICOS YCONEXAS (スペイン)*(中核機関)、TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS(フィンランド)、Teknologian tutkimuskeskus(フィンランド) <大学>バンガー大学(イギリス)、ウォーリック大学(イギリス) <企業>3V MABO社(イタリア)、3V TECH EQUIPMENT & PROCESS SYSTEMS社(イタリア)、PROCESS DESIGN CENTER社(オランダ)、PHYCOSOURCE社(フランス)、BECKER INDUSTRIAL COATINGS社(イギリス、SUN CHEMICAL社(イギリス)、CROMOGENIA UNITS社(スペイン)、CRODA INTERNATIONAL社(イギリス)、GRUENE-BIORAFFINERIE.AT社(ドイツ)、CASPEO 社(フランス)、BIO FUEL SYSTEMS社(スペイン)
【期間】2013年11月1日〜2017年4月30日
【費用】プロジェクト総費用5,605,439ユーロ(日本円換算729百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

25)PUFACHAIN : The Value Chain from Microalgae to PUFA.

【概要】本プロジェクトの目的は微細藻類からの高付加価値製品の産業発展を戦略的および技術的に下支えするための技術基盤を開発することである。このため、微細藻類のバリューチェーンのうち市場との関連性の高い具体的なアプリケーションを提案していく。ターゲットとしてはオメガ3脂肪酸(DHA/EPA)をビルディングブロックとして使用し、栄養と製薬用途で高価値製品への展開を目指す。上流から下流までの統合プロセスのパイロットモデルを構築する。
【委託先】<公的機関>FRAUNHOFER GESELLSCHAFT ZUR FOERDERUNG DER ANGEWANDTEN FORSCHUNG(ドイツ)、IFEU – INSTITUT FUR ENERGIE UND UMWELTFORSCHUNG HEIDELBERG(ドイツ)、STICHTING WAGENINGEN RESEARCH(オランダ) <大学>ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲン(ドイツ)*(中核機関) <企業>A4F ALGAFUEL社(ポルトガル)、MAHLE INNOWA社(ドイツ)、NATEX PROZESSTECHNOLOGIE社(オーストリア)、CREMER OLEO社(ドイツ)、EURA-CONSULT社(ドイツ)、IOI OLEO社(ドイツ)
【期間】2013年11月1日〜2017年10月31日
【費用】プロジェクト総費用7,151,539ユーロ(日本円換算930百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

26)DRONIC : Application of an unmanned surface vessel with ultrasonic, environmentally friendly system to (map and) control blue-green algae (Cyanobacteria).

【概要】本プロジェクトでは、シアノバクテリア由来ブルームを局所的に処理する技術開発を行う。シアノバクテリアブルームのモニタリングおよびロボットシステムによる処理で、直接かつ局所処理するため、環境にやさしく湖の生態学にはほとんど影響しない。本技術によってシアノバクテリアのブルームが存在する場所で局所的に処理され、湖や貯水池の全体処理をする必要がなくなる。それに加えて、より高出力の超音波を局所的に使用することにより、シアノバクテリアの毒素も中和することが可能となる。
【委託先】<公的機関>VLAAMSE INSTELLING VOOR TECHNOLOGISCH ONDERZOEK N.V.(ベルギー)、MINISTRY OF AGRICULTURE, RURAL DEVELOPMENT AND ENVIRONMENT OF CYPRUS(キプロス)、フランス国立科学研究センター(フランス)、SCOTTISH WATER(イギリス)、フランス国立情報学自動制御研究所(フランス) <大学>リュブリャナ大学(スロベニア)、ニース・ソフィア・アンティポリス大学(フランス) <企業>LG SOUND社(オランダ)*(中核機関)、SEPTENTRIO社(ベルギー)、ARCHITECTURE ET CONCEPTION DE SYSTEMES AVANCES社(フランス)、ALSEAMAR社(フランス)
【期間】2014年1月1日〜2016年6月30日
【費用】プロジェクト総費用3,273,879ユーロ(日本円換算426百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

27)ALFF : The Algal Microbiome : Friends and Foes.

【概要】微細藻類の農業的生産システムの構築を目的としている。
1)自然界に存在する微細藻類共生生物および病原体の同定、分類および利用
2)水産養殖、自然環境、単純化されたシステムにおける種間および種内シグナル伝達と化学生態学
3)これらの相互作用について最先端のゲノミクス、分子、および生化学技術を用いた解明
これらの各検討から微細藻類生産に最適な生態系の構築を目指す。
【委託先】<公的機関>スコットランド海洋科学協会(イギリス)*(中核機関)、フランス国立科学研究センター(フランス)、フランダース生命科学研究(ベルギー) <大学>フリードリッヒ・シラー大学イェーナ(ドイツ)、コンスタンツ大学(ドイツ)、オストラヴァ大学(チェコ共和国)、ゲント大学(ベルギー) <企業>PROVIRON HOLDING 社(ベルギー)、APPLIED MATHS 社(ベルギー)、A4F ALGAFUEL社(ポルトガル)
【期間】2015年1月1日〜2018年12月31日
【費用】プロジェクト総費用3,794,115ユーロ(日本円換算493百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

28)ECO-LOGIC Green FARM : Design of an agricultural greenhouse for intensive growing of microalgae in fresh / sea water with syngas production plant and organic farming of chickens and pigs outdoor.

【概要】シンガスを用いた熱源供給システムから出てくるCO2で微細藻類を育て、既存の農業と統合した形の新しい農業システムの構築を目指す。生産された微細藻類は食料、飼料、化粧品原料、医薬品原料、肥料などへの応用利用を行う。完成できたモデルを用いて、コンセプト及びブランド、のライセンスビジネスを想定している。
【委託先】SOCIETA’ AGRICOLA SERENISSIMA 社(イタリア)
【期間】2015年8月1日〜2017年1月31日
【費用】プロジェクト総費用3,554,500ユーロ(日本円換算462百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

29)TIME SCALE : Technology and Innovation for Development of Modular Equipment in Scalable Advanced Life Support System for Space Exploration.

【概要】月または火星へと向かう長期間の宇宙飛行探査ミッションのための生命維持システム開発の基礎試験を行う。高等植物(作物)と微細藻類バイオリアクターのためのコンセプトを開発し、試験する。微細藻類バイオリアクターの概念は、大量栽培および生物学的研究の側面も含む。
【委託先】<公的機関>NTNU Samfunnsforskning(ノルウェー)*(中核機関) <大学>ワーゲニンゲン大学(オランダ)、ゲント大学(ベルギー)、シュトゥットガルト大学(ドイツ) <企業>DESIGN AND TECHNOLOGIES FOR HIGH PERFORMANCE MECHANICS (DTM) 社(イタリア)、INTERSCIENCE BELGIUM社(ベルギー)、Prototech社(ノルウェイ)、CLEANGROW 社(アイルランド)、INTERSCIENCE社(オランダ)
【期間】2015年2月1日〜2018年1月31日
【費用】プロジェクト総費用3,871,209ユーロ(日本円換算503百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

30)NOMORFILM : Novel marine biomolecules against biofilm. Application to medical devices.

【概要】バイオフィルム等により薬剤耐性が拡大している一方で、新規抗菌薬の開発は停滞している。新規抗菌薬のリソースとして微細藻類の可能性に注目している。本プロジェクトは、大陸を超えて世界各地から収集した6,800種類もの微細藻類から、全く新しい構造を持つバイオフィルム系抗菌成分の探索を目的としている。
【委託先】<公的機関>バルセロナ国際健康研究センター(スペイン)、カロリンスカ研究所(スウェーデン)、FUNDACION PRIVADA INSTITUTO DE SALUD GLOBAL BARCELONA(スペイン)*(中核機関) <大学>コインブラ大学(ポルトガル)、オビエド大学(スペイン)、フィレンツェ大学(イタリア)、アルメリア大学(スペイン)、コペンハーゲン大学(デンマーク)、ダブリン大学(アイルランド)、ポルト大学(ポルトガル)、パリ第6大学(フランス) <企業>Fotosintetica & Microbiologica 社(イタリア)、NANOMEDPHARMA 社(イギリス)、KTEDOGEN社(イタリア)、MBA INCORPORADO 社(スペイン)、PYROGENESIS 社(ギリシャ)
【期間】2015年4月1日〜2019年3月31日
【費用】プロジェクト総費用7,651,315ユーロ(日本円換算995百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

31)VegaAlga-Sustainable agricultural eco-system : business and technological solution for eco-conscious vegetable cultivation using on-site produced algae fertilizer.

【概要】費用対効果が高く、環境負荷の低い微細藻類由来のバイオ肥料を用いた野菜栽培技術の展開を行う。併せて、仲介者がこの技術で生産されたブランド野菜を買い取って、高級スーパーストアに卸すという垂直統合型モデルを確立する。本プロジェクトでは、パイロット規模を商用規模へと拡大させ、設計の一般化、技術のマニュアル化などの普及準備を行う。さらに、仲介者をはじめ、ヨーロッパへのビジネスモデルの拡充、マーケティング活動についても行う。
【委託先】<企業>ZOLDSEGCENTRUM KERESKEDELMI TERMELTETO ES SZOLGALTATO KFT 社(ハンガリー)*(中核機関)、MULTISENSE LABOR FEJLESZTO ES SZOLGALTATO KORLATOLT FELELOSSEGU TARSASAG社(ハンガリー)
【期間】2015年6月1日〜2017年11月30日
【費用】プロジェクト総費用1,693,842ユーロ(日本円換算220百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

32)SABANA : Sustainable Algae Biorefinery for Agriculture and Aquaculture.

【概要】微細藻類を利用した生物肥料、生物農薬および水産用飼料の生産のための大規模なバイオリファイナリーの統合実証試験を行う。栄養素については下水を用い、デモンストレーションでゼロエミッションプロセスの達成を目指す。5haの規模で環境保全と経済性の確保の双方を満たす方法を探る。
【委託先】<公的機関>チェコ微生物研究所(チェコ共和国)、イタリアバイオガスコンソーシアム(イタリア) <大学>アルメリア大学(スペイン)*(中核機関)、カールスルーエ工科大学(ドイツ)、ミラノ大学(イタリア)、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア大学(イタリア)、セーチェニ・イシュトヴァーン大学(ハンガリー) <企業>FCC AAQUALIA 社(スペイン)、GEA WESTFALIA SEPARATOR GROUP社 (ドイツ)、BIORIZON BIOTECH社 (スペイン)、A.I.A. AGRICOLA ITALIANA ALIMENTARE 社(イタリア)
【期間】2016年12月1日〜2020年11月30日
【費用】プロジェクト総費用10,646,705ユーロ(日本円換算1,384百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

各テーマがバラエティに富んでおり、藻類のポテンシャルを幅広く確かめようとする意志を感じる。戦略的にテーマを広げ、中で可能性の高そうなテーマを深掘りしていく、という方針であろう。付加価値高いところからどの分野でもいいから産業を作ってしまえ、という産業化重視の進め方だ。

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