藻ガール尾張の藻類コレクション vol.14「クンショウモ」

藻ガール尾張の藻類コレクション vol.14「クンショウモ」

学校の教科書でもお馴染みの藻類ですね。規則正しく細胞が並んでいますが、どうやって配置されていくのか想像できますか?クンショウモは水中で緑色の花を咲かせるように増えていきます。

●学名:Pseudopediastrum boryanum(和名:クンショウモ)
●分類:真核生物>アーケプラスチダ>緑藻綱>ヨコワミドロ目>アミミドロ科
●生息:日本を含めアジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界中に生息。
●体長/形態:16個または32個の扁平な細胞が側辺で相互に接着し、放射状に並んだ定数群体をつくる。群体内に細胞間隙はない。群体の周縁部の細胞には2本の角状突起がある。葉緑体は1個、中央に1個のピレノイドがある。
●レア度:★☆☆☆☆

クンショウモは平たい多角形の細胞が規則正しく集合してできています(定数群体)。鞭毛がないため細胞1個1個は動くことができないはずなのに、どういうわけか周囲との間隔を測っているかのようにきれいに敷き詰められています。パズルのようにぴったりはまったクンショウモは、とてもユニークな増殖をします。

まず1個の細胞が、1つのクンショウモができるだけの細胞数になるまで繰り返し分裂をします。

分裂してできた細胞は遊走子といい、この時には鞭毛が生えているため自由に動き回ることができます。遊走子は一つの袋(嚢状体)に入っていて、その中でクンショウモの形になるように他の遊泳子と接着します。配置が決まると、細胞の鞭毛は消失し、突起など細胞の位置に合わせて変形していきます。そして、小さなクンショウモができあがるのです(図;Park et al. 2014)。

動画もご覧いただけます!(再生開始3分から分裂過程が始まります)

 

遊泳子が泳ぎ回ってから小さなクンショウモができるまでにかかる時間はたった10分程度。とても不思議な現象です。緑のクンショウモが形作られ、咲く瞬間に出会えたら幸せですね!


参考資料
Park, J. B. K., Craggs, R. J., & Shilton, A. N. (2014). Investigating the life-cycle and growth rate of Pediastrum boryanum and the implications for wastewater treatment high rate algal ponds. Water Research, 60, 130–140.
井上勲. (2006). 藻類30億年の自然史. 東海大学出版.
http://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/dam/205-1-0.html

顕微鏡写真
” PEDIASTRUM BORYANUM, EL AVANCE DE LAS PERSEIDAS“©Proyecto Agua/>CC BY-NC-SA 2.0

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