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ちとせの藻ヂカラ[前編] -ちとせはなぜ藻類プロジェクトに取り組むのか?-

世の中には様々な課題に対して様々な技術で挑む人達がいる。
センサー技術や今流行りのAI技術、デザインの技術等など色々あるが、わたしたちちとせグループは、生き物を「育種・培養」する技術をベースに様々な課題に取組んでいる。
今回は、2000年代半ばから着目し、研究開発のみならず事業化を進めてきた「藻」の話をしようと思う。

「藻」と言われても正直興味ないよと思うかもしれない。
ちなみに私も元々「藻」にはさして興味はなかった。

しかし、小さな緑の生き物たちの秘めるポテンシャルや、藻で課題を解決しようと奮闘するちとせのメンバーを見ているうちに「藻」が興味うんぬんではなくもはや当たり前に必要な存在になったように思う。
ふと気づいたら、藻の情報サイト『Modia[藻ディア]』を立ち上げて編集長を務めてしまっていたほどで、「藻」という言葉を見ない日はもはやほとんどないに等しい。

マニアック過ぎる情報は『Modia』におまかせするとして・・・、

CHITOSE JOURNALでは、
●前編:ちとせはなぜ藻類プロジェクトに取り組むのか(←本記事)
中編:ちとせの藻類プロジェクト
後編:ちとせの武器、3つの藻ヂカラ
と3回に分けて藻の話をしていくことにする。

※補足:各プロジェクトは日々動いているため、あくまで現時点(2018.3時点)での情報となります。

千年先まで豊かに暮らすために

ちとせグループは、生き物の力を活用することで、千年先まで人類が豊かに暮らせるようにするための技術の開発と展開に取り組む企業群だ。

そう、「ちとせ」とは「千年」の意味からきている。
社名・ロゴマークに込めた想い

千年先まで人類が豊かに暮らすためには、「食料」と「燃料」は絶対に欠かすことが出来ない資源であり、これらが保証されていることは豊かな生活を送るために絶対不可欠だ。

全ての有機物は太陽エネルギーから

ところで、我々は何のために食料や燃料を利用するのか?
それは、「エネルギー」を得るためである。
食料や燃料に含まれる「有機物」から「エネルギー」を取り出して使っているのだ。

この有機物に含まれるエネルギー、実は全て太陽エネルギーから由来している。
「光合成」という植物の営みが玄関口となり、太陽エネルギーを有機物の形に変えて地球上に取り込んでいるのだ。

※石油や天然ガスなどの化石燃料は、遥か昔、光合成によって生み出された有機物が何百万年もかけて姿を変えたもの

「光合成」の量を増やさねばならない

昨今、世界的な人口増加や生活水準の向上により、食料(特にタンパク質)・燃料需要ともに大幅に増加することが予測されており、このままでは両者とも不足すると言われている。

この問題を解決するためには、これまでよりも効率的に、そして持続可能な形で食料・燃料となる有機物(バイオマス)を生み出す必要がある。

有機物は太陽エネルギーが姿を変えたものなので、まず前提として太陽エネルギーが十二分に存在する必要があるが、この点については心配ない。

つまり、地球に降り注ぐ太陽エネルギーを有機物に変換する「光合成」の量を、利用可能な形でいかに増やすかが人類の持続可能な繁栄に必要なことなのだ。

しかし、慣行農業ベースのバイオマス生産(陸上農業)を拡大することだけでは、この食料・燃料の増加に対応することができない。なぜならば、基本的に農業は土壌を必要とするため土地に制限があり、また、生産性を向上させる技術の目処も立っていないためだ。

そこで、注目すべきが「藻」である。

なぜ光合成の量を増やすのに「藻」が最適なのか

利用可能な光合成量を増やすにあたり、なぜ「藻」に注目すべきなのか。
その理由は大きく3つある。

①生産性が極めて高い

植物は陸上で体を保つため、根、茎、葉といった骨格部分に光合成で取り込んだ多くのエネルギーを割く必要がある。それに対し、藻類は水中生物なので、骨格を多く作る必要がなく、その分のエネルギーは人が活用できるタンパク質や油の合成に使われるのだ。この結果、植物と比べて生産性が大幅に高くなる。

②土地を選ばない

藻類は水と光さえあれば基本どこでも培養することができる。このため、砂漠や荒地のような、植物が育たず現在利用されていない土地を有効活用することができるのだ。つまり、農業と住み分けが出来るということである。実際、現在実用化されている藻類の多くは農地として使えない土地が利用されている。

③水資源を有効活用できる

藻類は大量の水を使うようにイメージされがちだが、実は農業よりずっと少ない水資源で培養することができる。農業では畑に散布される水のほとんどが蒸発、もしくは地下に浸透してしまうのに対し、藻類では水面からの蒸発分のみで済むためだ。また、種を選べば汽水・海水を使うこともできるため、淡水資源以外の水資源を利用することも可能なのだ。



ここまでで、
近い将来、食料や燃料が足りなくなること。
その解決のためには光合成量を増やす必要があること。
そして、光合成量を増やすには藻が最適であるという話をしてきた。

ちなみに、藻の活躍分野は食料や燃料だけではない。
藻が光合成で作る種々の有機物は、食料や燃料としてのみならず様々な産業分野で利用することが出来る。

次回、「中編:ちとせの藻類プロジェクト」では我々が取組んでいるプロジェクトを具体的に紹介する。

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