タンパク質危機(タンパク質クライシス)に備え、老舗農業企業が藻類農業へ参入



タンパク質危機 / タンパク質クライシス(Protein Crisis)
という言葉をご存知だろうか。

人口の増加と新興国の経済発展による生活レベルの向上により、人類が必要とするタンパク質の需要に、供給が追いつかなくなることを予測した警鐘である。我々の試算だと早ければ2025年ごろからその傾向が顕在化し、世界的な問題になっていくと予測している。

こうした、近い将来訪れるであろうタンパク質危機に備えた動きが活発化している様子が分かる記事を一つ紹介する。

Woods Grain社がクイーンズランド州のサポート受け、新しい農業の取り組みとして藻類農場の建設を開始。ターゲット製品は『ω-3脂肪酸』と『タンパク質』。

オーストラリアのWoods Grain社は、Woods Groupというクイーンズランドで60年以上穀物生産を続けてきた老舗農業企業のグループ会社の一つ。タンパク質危機に備えて新しいタンパク質源を探していたところ、藻類に目をつけた形になる。

藻類栽培については、クイーンズランド大学のPeer Schenk教授が開発した培養技術をベースとしているようだ。Peer Schenk教授は藻類研究の世界的大家の一人。長年屋外の培養池での藻類生産の実証を進めており、事業として成り立つシステムかどうかを確かめながら研究を行っている先生である。

藻類は地球上で最も効率良くタンパク質を生産できる生物であり、タンパク質危機を解決するための素材として近年急速に注目を集めている。現在のタンパク質源はほとんどが大豆であるが、今後、タンパク質の需要がタイトになるにつれ、今回の記事のようなタンパク質生産を目的とした藻類農業が世界各地で広がっていくことになると予測する。次世代の大豆として、地平線まで藻類農場が広がった世界が来ることも遠い未来の話ではない。今回のクイーンズランド州の取り組みは、そんな世界の先駆けとなっていくことだろう。

タンパク質についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をどうぞ

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