みんな大好きなボルボックス。暗い背景にキラキラと緑に輝くボルボックスは、大人も子供もうっとりする美しさです。テレビや図鑑で皆さまもご覧になったことがあるのではないでしょうか?
●分類:真核生物>アーケプラスチダ>緑藻類>ボルボックス目>ボルボックス科
●生息:日本を含め世界中に生息。
●体長/形態:約2,000個の細胞が球の側面に1層配置している。各細胞は2本の等長鞭毛をもち、寒天質に包まれている。細胞は鞭毛が球の外側に向くように並び、それら鞭毛が協調して球全体を回転させながら遊泳する。球の内部の空洞には、ゴニディアと言われる生殖細胞と形成中の娘群体が入っている。
●レア度:★☆☆☆☆
Volvox aureus
Volvox aureus - Aufnahmen im Dunkel- und Hellfeld Mikroskop: Motic BA310LED Objektive: EF-N Plan 4X/10X/40X Kamera: per Motic C-Mount Adapter 1X adaptierte N...
ボルボックスは、もちろん研究者も魅了してやみません。2019年には、日本で『ボルボックス国際会議』が開催されました。なにそのマニアックな学会、と笑われる方。ボルボックスを侮ってはいけません!今回は学会プログラムを通して、ボルボックスの魅力をご紹介いたします。
ボルボックスはボルボックス科(広義の)ボルボックス属です。ボルボックス科の特徴は、単細胞緑藻クラミドモナス様の藻類が規則正しく配置された定数群体です。群体はゼラチン質に包まれおり、種によって構成細胞数が決まっています。「藻類コレクション」でもご紹介したテトラバエナは4細胞、パンドリナは8細胞という様に、構成細胞数の増加とともにボルボックス科は進化していきました。この進化を筆者は「ヒゲマワリシリーズ」といっていますが、この頂点に立つ、つまり定数群体の定数が一番最大である藻類がボルボックスになります。
ボルボックス国際会議は、ボルボックス科に所属する藻類と、定数群体の原基ともいえるクラミドモナスの研究者による研究発表の場です。そこで議論された6つの議題をご紹介します。
①進化と多様性
新種ボルボックスの発見や、ボルボックス科のゲノム進化の話題です。新種の発見やゲノム進化はダイナミックな進化を研究する上で欠かせません。
②生殖方法の進化
ボルボックス科の構成細胞数が少ない藻類は無性生殖、多い藻類は無性生殖と有性生殖を行います。各藻類の生殖がわかることで生殖システムの進化に迫ることができます。
③クラミドモナスの細胞機能
研究しやすいモデル生物であるクラミドモナスを詳細に解析することで、ボルボックス科の研究の発展に繋がります。
④細胞分化の進化
多細胞化のなかで構成細胞の分業化の前後が研究できるのはボルボックス科ならではです。
⑤多細胞性
各藻類の多細胞という視点から研究されています。
⑥運動性
各細胞についている鞭毛がどのようにして協調的に群体を動かすのか、様々な手法で研究されています。
有名なボルボックス研究者が日本で一堂に会していた様子を想像すると、わくわくせずにはいられません!2020年には、日本で藻類研究のビックイベント、「国際応用藻類学会(Conference of the International Society for Applied Phycology (ISAP2020))」が日本で開かれる予定です。
藻類研究も回転し続けるボルボックスのように進展し続けます。藻類がもっともっと、そして早く、社会に活かされることを期待したいです!
これからも、Modiaを通して藻の魅力を伝えていきます。
藻藻子(藻ガールの子供の愛称)もボルボックスがお気に入り。(やらせじゃないです)
参考資料
http://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/~tayousei/Volvox2019/index.html
顕微鏡写真
Reuben, D. (2000). Everything You Aways Wanted to Know About Sex: But Were Afraid To Ask. Macmillan.