栄養価とタンパク質含量の多さから、宇宙開発においても食用藻類スピルリナの有用性が注目されています。米国航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)では研究が進んでいます。
日本でもスピルリナの宇宙に向けた研究が進んでいます。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、Modiaを運営しているちとせグループとの宇宙開発研究について、ここでご紹介いたします。
JAXAとのスピルリナ宇宙開発研究
ちとせグループでは、2018年から2019年にわたりJAXAらと一緒に「食用藻類スピルリナを用いた省資源かつコンパクトなタンパク質生産システムの開発」を行いました(ちとせグループの参画企業;(株)ちとせ研究所・(株)タベルモ)。
先の研究開発を受けて、2020年にはJAXAとシダックスグループと「月面農場における食用藻類スピルリナの循環型培養システムの改良と生スピルリナ入りメニュー開発」の共同研究を行っています(ちとせグループの参画企業;(株)タベルモ)。
2019年までの研究では、宇宙利用を想定したスピルリナ生産システムの開発に成功しました。2020年はJAXAの協力を受け、実用化に向けさらなるスピルリナ生産システムの改良を行う予定です。さらに、長期滞在する宇宙飛行士が月面農場でスピルリナを培養することを想定し、シダックスグループと共同で栄養価の高い生スピルリナを取り入れた月面滞在食メニューの開発を行っています。
また、2021年度は『国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船内環境を利用する実験テーマ(フィジビリティスタディテーマ)』に採択されました。テーマ名「効率的なタンパク質生産とCO2処理を目指したスピルリナの担持体培養実証」を行います。ここでは、宇宙飛行士の健康に重要なISSで育てたスピルリナの生物学的安定性の解析と、スピルリナ培養によるISS内の空気再生可能とする先進的な培養システムの構築を目的に、地上での実験を開始します(ちとせグループの参画企業;(株)ちとせ研究所・(株)タベルモ)。
宇宙で藻類、スピルリナが食べられる日が着実に近づいているのを感じます。
宇宙開発に”生”スピルリナを使用しなければいけない理由
現在、地上で流通している一般的なスピルリナは、加熱滅菌をすることで長期保存を可能としているため乾燥粉末になっています。
しかし宇宙環境では、培養して、すぐに食べる(食材として利用する)ことが想定されるので、非加熱の生スピルリナを使ったメニューを開発する必要がでてきます。生スピルリナは加熱乾燥スピルリナに比べ味や臭いがなく、熱で壊れやすい栄養成分も損なわれずに摂取できるなど、食品として加熱乾燥スピルリナとは性質が大きく異なります。
宇宙開発の研究に必要な「生スピルリナ」を生産、販売している企業は世界でも僅かです。ちとせグループの(株)タベルモは、国内唯一の生スピルリナメーカーであり、また世界的にも唯一大規模に生スピルリナを製品化できているメーカーです。
ちとせグループは、本研究を通して、生スピルリナの認知拡大と研究を推し進め、地球環境にも宇宙環境にも良いタンパク質源を提供していきたいと考えております。