「藻」で、夢を叶える。HondaとMATSURIのミライの産業づくり

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「藻」で、夢を叶える。HondaとMATSURIのミライの産業づくり

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オーナー

MATSURIパートナーであり、バイオマス産業都市として歩みを進める佐賀市とともに、藻類産業の活性化・拡大を目的とし、さが藻類バイオマス協議会とセミナーを共催いたしました。そのなかで同じくMATSURIパートナーであり、藻を活用したカーボンニュートラルに挑む株式会社本田技術研究所(以下Honda社)と、未来の藻類産業に関するトークセッションを開催いたしました。

自動車業界において藻類の秘めた可能性にいち早く着目したHonda社は、世界最大規模の藻類培養技術を持つちとせのMATSURIプロジェクトを活用しながら、自社開発を進めてきました。Honda社の藻であるDreamoの開発責任者である福島のぞみ氏と、ちとせグループMATSURI発起人・星野との、藻類への愛があふれるマニアックで魅力的な藻類の世界を一部お届けします。

現在のプロジェクト進捗

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「藻」でHonda社がMATSURIと目指すミライ

  • Honda社はカーボンニュートラルを目指して、自動車業界でいち早く藻類に着目しました。

  • 「Honda DREAMO」を開発。藻類の大量培養を目指しています。

  • 世界最大規模の藻類生産設備を持つちとせグループのMATSURIプロジェクトにて、共に藻類産業の活性化、拡大に取り組んでいます。

\ こうして「藻のチカラ」で暮らしがもっと豊かに/

こうして「藻のチカラ」で
暮らしがもっと豊かに

メンバー

  • (株)本田技術研究所

    福島のぞみ氏

  • MATSURI Founder

    星野孝仁

パートナー

  • 佐賀市

  • 株式会社本田技術研究所

メンバー

  • (株)本田技術研究所

    福島のぞみ氏

  • MATSURI Founder

    星野孝仁

パートナー

  • 佐賀市

  • 株式会社本田技術研究所

このプロジェクトについて
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応援メッセージ
福島氏
福島氏

栃木県にあります本田技術研究所からまいりました、福島のぞみと申します。 本日は様々な業界のプロフェッショナルな方々にお集まりいただいておりまして、また星野さんは10年ほど前に知り合ってから社外の中で最も尊敬する研究開発の方なので、非常に緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。

燃料だけではなく、他の問題の解決も目指して

福島氏
福島氏

SDGsの表にもあるように、人類が解決すべき課題は山ほどあります。課題を解決するために、たったひとつの問題にだけ取り組んでいても、そのたったひとつの問題すら解決しません。例えばエネルギー問題だけではなく貧困や食糧問題など様々な問題も一緒に、一歩ずつでもみんなで解決していく方向に進めていかないといけない、と考えています。

福島氏
福島氏

これは実は星野さんの受け売りなんです。星野さんと出会った当時、弊社は元々藻を使って燃料を作ることだけ考えていました。星野さんに「食糧問題と言っても食糧が足りないということだけではなくて、タンパク質クライシス。タンパク質が世界中で足りなくなる問題を考えないといけない」という指導を受けました。それ以来藻を使って、燃料だけではなく藻類に豊富に含まれるタンパク質を世の中の子供たちに届けたい、そういう思いが私たちの中にあるのです。

カーボンニュートラルよりカーボンリサイクル

福島氏
福島氏

皆さまはCO₂ガスの排出量増加による地球温暖化についてご存知かと思いますが、大気中に放出されたCO₂ガスはいろいろな回収方法があります。DAC(Direct Air Capture)のように直接空気中からキャプチャーするもの、植物や藻類が光合成によって吸収するもの、など。元々排出されていたCO₂が1として、CO₂を吸収して育った藻類を燃料や樹脂、食材のようなもので有価物化して使うことにより、いったん0になります。そしてまた使われることによって1に戻る。これはカーボンニュートラル技術になります。カーボンニュートラルを繰り返しているだけでは地球上のCO₂量は変わりません。

福島氏
福島氏

DAC(Direct Air Capture)で集めたCO₂を地中深くに埋めればカーボンネガティブになりますが、微細藻類の場合は光合成で電気を作って、化学的な物質を作って有価物を生産するという、カーボンリサイクルが可能となります。どのようなものができるのかと言いますと、燃料や工業に使用できる機能性物質、タンパク質、炭水化物、グリセロール、脂肪酸などを豊富に含んだ食糧、飼料、医療やサプリメントなど、これまで化石燃料を使ってきたほとんどの原料を生み出すことができるのです。 ということで、私たちはカーボンニュートラルやネガティブではなく、CO₂から燃料や食料などの有価物を生み出す「カーボンリサイクル」を目指しているチームなのです。

福島氏
福島氏

素晴らしいのはカーボンリサイクルということだけではありません。例えば原料の置き換えを考えたときに、今私たちが食べている鶏や牛や豚の代わりに藻類からタンパク質を摂取する場合、藻類は畜産や農業に比べて非常に効率よく生産できるためタンパク質源1キロ作る場合23.1キロのCO₂を削減できます。 従いましてカーボンニュートラルではないものの、非常に高いCO₂削減効果があると言えるのです。 ガソリンの代わりにエタノール燃料を使用した場合も同様で藻類でエタノールを製造した場合、ガソリンに比べて5分の1程度のCO₂排出量に抑えることができます。このように原料の置き換えによってCO₂をの削減が可能となるのです。

それぞれの企業の強みを課題解決に活かす

福島氏
福島氏

藻類を生産するには課題もあります。例えば藻類が吸収するCO₂より生産プロセスで排出するCO₂を少なくしなければならないこと。また、太陽光を直接当てて光合成をおこなっているため夏は温度が上がり過ぎてしまい、逆に冬は温度が低くなってしまうので温度調整に気をつけなければならず、それにエネルギーを使用して余計なCO₂を排出しないようにすること、コンタミネーション(他の藻類やバクテリアが混入してしまうこと)などなど。他にもいろいろな課題があります。

星野
星野

我々もマレーシアサラワク州の赤道直下に培養施設がありまして先日完成したんですが、温度が上がりすぎてしまったり、コンタミネーションという同じ課題をはじめ、日々いろいろなトラブルが発生して都度ひとつひとつ解決していく、という状況です。でもトラブルをひとつ解消していくたびに、その技術や乗り越える経験を得ることができる。今どんどん技術障壁を築いている段階です。一方でHondaさんや本日ご出席なさっている藻類培養経験のある方々がどのような技術で課題を解決なさっているか、という話は非常に参考になりますし興味深いですね。

福島氏
福島氏

課題には弊社のものづくりの技術を活かして取り組んでいるところもあり、ものづくり企業だからこそ提供できる価値も実感しています。 プロセス排出CO₂の低減のために温度調整にエネルギーをかけずに行う培養システムを考案したり、生産量を落とさずに培養液をリサイクルする技術開発にも取り組んでいます。 そして、Dreamoはコンタミネーションに強く、アミノ酸スコアが非常に高く肉とほぼ同じ栄養価、という特徴があります。この性質を活かして経済性だけではなく世の中に役立つような価値を生み出していけるよう検討しています。

星野
星野

マレーシアのプラントはコンタミネーションに毎日対応に追われて大変です。Hondaさんのところでうまく制御できているというのは素晴らしいことだと思っておりまして、そこのいろいろ、スキルなり技術なりを伺いたいです。屋外で培養やっている方、ご経験のある方ならお分かりだと思うんですけどここはすごく大事なところで、屋外培養においてコンタミネーションを制御できるかできないかは死活問題に関わるところだと思っています。

この後、福島氏と星野、参加者の方を交えて藻類培養について各社が経験した課題、それに対する対応の話題が活発にやりとりされました。「それはちょっとお答えできかねます・・」という企業秘密ギリギリの内容も交えながら藻類トークで盛り上がりました。

真のカーボンニュートラルは太陽光では不十分?

参加者の方
参加者の方

真のカーボンニュートラルを目指すには、太陽光では生産効率が足りないため、再エネ電力によるLED光の利用が必要だという学説もありますが、Hondaさんとちとせさんはどうお考えでしょうか。

星野
星野

私の方からまず意見をコメントさせていただきますと、全く必要ないと思ってます。再エネ電力によってLED光で補光するようなことがなくても、今地上に降り注いている光だけで十二分生産できます。 光合成効率の、例えば利用できるのは10%、13%って言われてますけれども、そこまでいかなくてもほんの1%、2%、3%というところを達成すれば、十二分に代替可能だと。カーボンニュートラルのところまで持っていけると思っています。思っていますではなくて、計算上そうなるはずです。

福島氏
福島氏

私も同じ考えでして、まだまだ藻類の、自分が使ってる藻の実力を引き出せていないのに、もっとプロセス検討して例えば元素の組み合わせ検討したりしたらもっとずっと生産効率高められるのに、遺伝子を組み換えようとかゲノム編集しようって、その藻自体をよくしようとするんですけど、まずはその子たちが育ちやすい環境をしっかり見つけてあげられれば、もう無尽蔵に降り注いでいく太陽光を使えば、再生可能エネルギーを作るためのソーラー作るのだってCO₂をたくさん排出するので、それを使わずに無尽蔵に降ってくる太陽光を使っていくことが人類の千年後、さきほどMATSURIでもおっしゃってましたけど食べ物も燃料も作っていけるポイントになってくるのかなと思って。私も太陽光だけで十分達成できるという風に思っています。私は、計算上ではなくて思っています。

■参加者の声

  • 熱意のあるイベントでした。
  • 藻類バイオマスの関係者に若い人が多く、これから伸びる分野であるという感触がありました。
  • フランクな場となり、かなり込み入った話や質疑が出されたことに驚きました。
  • 各社の現状や課題について、ざっくばらんに話し合うことができ、非常に勉強になりました。
  • 夏場の温度管理、培養液のリサイクルなど微細藻類を培養している企業にしか分からない苦労話が聞けた点が参考になりました。
  • 実際に困っていることの説明があったことが非常に良かった。困りごとを共有いただけると、こちらも解決のための提案ができると感じました。
  • 今回は培養工程にフォーカスした内容だったので、次の機会があれば培養以降の工程(分離、抽出など)にフォーカスした内容が伺えるとありがたいです。
  • 時間が限られていたので企業間の交流が充分にできなかったのが残念でした。コロナも落ち着いてきたので今後はパートナー同士の交流が可能なイベントなど機会があれば嬉しいです。

セミナー会場


■イベント概要

テーマ :「藻」で、ユメを叶える~ Honda と MATSURI のミライの産業づくり

日時  :2023年3月30日

会場  :佐賀市清掃工場

対象  :一般社団法人さが藻類バイオマス協議会(SABC)会員・MATSURIパートナー企業の皆さま 

参加人数:72名(オンライン・オフラインハイブリッド形式)

 

Honda DREAMOについて

CHITOSE マレーシアサラワク州 世界最大級の藻類生産施設紹介動画

参加者集合写真

 

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