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「藻」が作り出す化粧品業界の新たな挑戦
化石資源から自然由来の藻に置き換わっていく社会実装
資生堂とちとせグループが目指す1000年先の未来
お客様のために付加価値を追い続けるゲームチェンジャーになる
\ こうして「藻のチカラ」で暮らしがもっと豊かに/
こうして「藻のチカラ」で
暮らしがもっと豊かに
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メンバー
-
㈱資生堂 R&D部長
大山 志保里氏
-
CHITOSE Group&MATSURI Founder
藤田 朋弘
-
ボツリオ君
パートナー
-
株式会社資生堂
-
CHITOSE BIO EVOLUTION PTE.LTD.
メンバー
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㈱資生堂 R&D部長
大山 志保里氏
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CHITOSE Group&MATSURI Founder
藤田 朋弘
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ボツリオ君
パートナー
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株式会社資生堂
-
CHITOSE BIO EVOLUTION PTE.LTD.
資生堂が本気で取り組む藻類基点の循環型モノづくりとは。
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両社の熱い想いを取材させていただくボツリオ君です。よろしくお願いします。 まず、一番最初に聞きたいのは・・「2023年の7月に10億円出資し藻類を基点とした循環型モノづくりを ちとせ研究所と進めることになった一番の決め手はなんでしょうか?」
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ひとつに限定する事はできないのですが、信頼できるパートナーであることが重要です。競争激しい微細藻類産業において、世界最大規模の藻類プラントを作り上げ、世界一を誇るCO2吸収率を実現するなど、高い技術力に裏付けされた信頼性が一番の決め手でした。
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世界最大規模の藻類生産設備をご見学いただいたと伺いましたがいかがでしたか?
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現場は副社長の岡部、研究員が見学させていただきました。資生堂は循環型のモノづくり実現を重要なテーマとしており、このプロジェクトにも情熱をもって取り組んでおります。特に原料レベルでの循環型化を進めていきますので、視察したときには大きなスケールに興奮してワクワクが抑えられなかったと聞いています。今後私たちのサステナビリティへの取り組みにおいて、象徴的なものになっていくと期待しています。
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循環型のモノづくりを実現を考える際に藻類産業以外に候補はありましたか?
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藻類で実現することは可能性の一つであったので藻類産業だけを見ていたわけではありません。 化粧品の原料をいかに自然由来のものにしていくかという目的に則した結果、その一つの選択肢が藻類産業であったということです。
世界最大規模の藻類生産設備を作り上げる世界初の挑戦
マレーシア、サラワク州に広がる5ヘクタールの藻類生産設備
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資生堂の岡部副社長に世界最大規模の藻類生産設備(マレーシア、クチン)を視察いただいて大きな期待を抱いていただいたことについてはどう思われますか?
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とても嬉しいです。実際に日射量の多い過酷な現地を見ていただき、現地メンバーとも交流いただいた上でご判断いただけたことが大変嬉しく思います。
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世界最大規模のプラントを立ち上げる一番のチャレンジってなんでしたか?
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そうですね。一番とは言い切れないかもしれませんが、世界中で誰もやったことのないことなので正解を模索しながらチャレンジしていることになります。自分たちを信じながら一つずつ積み上げてきた結果が今ある状態です。よくここまで来たなという感覚です。 実際に直近では、コロナや戦争など厳しい環境が続いていたわけですが、現地で真っ黒になって頑張っている仲間の誇らしい顔を見たら涙を堪えられなくて開所式で号泣してしまいました。
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世界最大規模の藻類設備では隣接する火力発電所から出るCO2を利用していますが、MATSURIに参画された資生堂にとっても重要な事由となっていますか?
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そうですね。スコープ3レベルで原料調達から温室効果ガス排出量をトラッキングできることが魅力的なポイントとなります。 ※Scope3とは(スコープ3とは)、事業者自ら排出している温室効果ガス(二酸化炭素等)であるScope1、Scope2以外の、事業者の活動に関連する他社の温室効果ガスの排出量です。
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MATSURIプロジェクトに参画して資生堂が進めるマイルストンの進捗は?
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MATSURIに参画されて一年以上経ちましたが、手ごたえはいかがでしょうか?
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資生堂では、上市に向けて一歩ずつ進めていくために大きく3段階のマイルストンを設定しています。大きな進捗となる一歩目は、原料メーカー様と協業して藻類を原料として仕入れるところまでのルート整備が出来ております。 二歩目は、2025年を目途に実際に研究に利用する原料を使ってプロトタイプを作成しインターナショナルなフェアなどで一般消費者の反応をみていきたい。三歩目は、2030年を目指して商用化を進めていきたいと考えております。
資生堂は2019年頃からESG経営に独自文化をプラスしESCGを打ち出して、直近では5Rsを提唱されていらっしゃいますが、5Rsとは?
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5RsはESG経営の中の環境領域における重要な指針です。 一般的には3R(リデュース・リユース・リサイクル)が主流ですが資生堂ではリプレイスとリスペクトを提唱しており合わせて5Rsとしています。
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3Rに追加された一つの「リスペクト」とは何を意味されているのでしょうか?
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他の4Rに関わる事ですが、「無駄にしない・ゴミを出さない」という基本的な考え方として位置づけています。 5Rsは2019年から提唱しており、資生堂では2025年までに100%サステナブルな容器を実現するというKPIを設定し推進しております。加えて、外装そのものだけではなく、お客さまが商品を手に取り使用したその先もサステナブルにしようということを提唱しており、お客さまの化粧品に対する新たな向き合い方を提案していきたく考えています。具体的には、リサイクル促進に向けた、新たな循環型のプラスチック収集・リサイクルモデルの推進です。生活者や店舗、同業他社など、社会全体を巻き込んだプロジェクトとして、「BeauRing(ビューリング)」を立ち上げています。加えて、化粧品業界初の取り組みであるケミカルリサイクルリング技術を活用した取り組みをしておりまして、容器包装領域では先進的に進めていた中で化粧品の中味や原料も循環型にしていきたいと思っていたところ、ちとせグループとの出会いがあったのです。
具体的な化粧品製品への藻類活用とは
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藻類の活用は原料がメインになりますか?
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原料がメインとなります。将来的には外装も開発していきたいと思っています。 製品全体がまるごと藻類だと面白いですよね!
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しかし、藻類で化粧品とは・・イメージがしにくいのですが。
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化粧品が全て緑色になるというわけではなく、藻類由来の化粧品が直接的にお客さまにとっての価値になるというよりは、原料が「当たり前に石油資源から藻類になっていく」と社会を想定して推進しております。
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原料自体が藻だと、多くの二酸化炭素削減がメリットになりますが、お客様にもCO2削減に繋がる光合成由来を提唱していく方針ですか?
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他社様も含め植物由来の原料などへの切り替えが加速していますので、当社も原料について取り組みを進めていき、象徴的な価値になり具現化されていくことが理想ですね。
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その理想的な社会実装に向けての課題は藻類の量産化になると思いますがいかがですか?
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量と値段が一番大事になってくると思っています。大量生産するために資本を集めるのは必要ですが、需要と供給が満たされることが一番重要だと思います。
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藻類の活用は、資生堂のR&D研究開発での重要な研究領域となっていますか?
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とても重要ですね。資生堂R&Dの戦略として3つ掲げています。①Skin Beauty INNOVATION:肌に関する知見など化粧品領域の強みを深化させ、新たな領域開拓へつなげていくこと。②Sustainability INNOVATION:循環型社会の実現をめざし、サステナブルな体験価値を提供していくこと。③Future Beauty INNOVATION:未来に向け新たなビューティーケアの領域を開拓していくこと。 この3本柱の中でもSustainability INNOVATIONは重要な研究領域になっています。
資生堂、ちとせグループが目指す「自然と共存する未来」とは?
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ちとせグループは社名由来にもなっている1000年後の未来を見据えて活動されていますが、資生堂から見た捉え方はいかがでしょうか?
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壮大なビジョンだと思います。資生堂の社名の由来である「万物資生※」の考え方との親和性があり、 「自然と共存して作り出していくんだ」というところが共感・共通する重要なビジョンだと捉えております。 藻類という強い生き物があってこその1000年と言えるところが素晴らしいですよね。 ※万物資生:中国の古典「易経」の一節、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」の一部
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両社の共通理念をどう思われますか?
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石油の代わりにバイオマスからモノが作られるのが当たり前になるであろうと思っています。 資生堂という社名といい、ロゴマークといい、ちとせグループが目指している価値観・世界観とすごく近いんだと感じています。
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両社が描く、1000年後の世界像はどうなっていると思われますか?
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化粧品の存在自体がわかりませんが、化粧行為、美容行為ははあり続けると思いますが、モノの捉え方が変わると思います。藻類から更に進化している可能性もありますが、もっと自然に溶け込んだ形になっているのではと想像しています。 モノの捉え方が変わってはいると思います。藻類から更に進化しているかもしれませんけどもっと自然に溶け込んだ形になっているのではと想像しています。
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昨今の地球環境では温暖化・沸騰化などのキーワードが注目されていますが、ちとせグループではどのようなソリューション提供を考えられていますか?
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これまでは化石資源をどんどん使っているんだから、二酸化炭素が出るのは当たり前であり、その化石資源が近いうちに無くなってしまうという現実があります。化石資源を使うのではなく、太陽から受けた太陽光を活用して生き物を増やしていく活動をしないと人類自体がサステナブルではないですし、化石資源に依存しない世の中を作っていかないと思っています。
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一方でグリーンウォッシュ勢が蔓延る世の中ですが、MATSURIプロジェクトが事業を進める上で正直に現状あることを伝えていくにはどうしたらよいと思われますか?
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私たちが未来を語るのに嘘があっては絶対にいけないですし、10年後がないと1000年後も無いと思っているので、着実に2030年に化粧品が藻から出来るように進めていきたいと思っています。着実に経済合理性が合う形で次に繋がないと1000年にならないので、1年ずつしっかりと経済合理性が合っている形で事業を正直に継続していくことが大事だと思っています。
藻類から生まれる化粧品についてお客様へのメッセージ
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藻類由来の化粧品がワクワクしてたまらないのですが、藻類で作られた化粧品の具体的なイメージは?
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お客さまが手に取った商品の付加価値を感じていただけるように商品開発を進めていきたいと考えています。例えば、お客さまご自身が、商品を手に取った後に「この商品が藻類で出来ていたんだ!」という驚きを提供したり。 また、化粧品の見た目も使い心地も、お客様が求める化粧品の機能を持ちつつ、どこかにユニークさがあるというのをイメージしています。使い心地がこれまでと違う感触というのも楽しいと思いますし、あとは新たな効果効能を持つ成分や、環境に良い容器包装を提供することでお客様のサステナビリティへのニーズを満たすこともできると素晴らしいですね。
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付加価値の高い化粧品となると、既存商品とのコスト差も気になるところですが・・
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そこは、原料供給する我々の頑張りどころだと強く思っています! 資生堂のラインナップで「これが藻で出来ている」というブランド展開かもしれませんが、われわれとしては藻がこのラインナップに全部に石油に代わって使われているという組み方が良いなと思っています。 知らない間に原料が置き換わっているという姿が望ましいですね。
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象徴的な商品から他のラインナップに展開していく形が良いかも知れませんね。
MATSURIプロジェクトへまだ参画していない企業様へメッセージ
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MATSURIプロジェクト「藻類産業の構築」へ当社が参画したのは「懸け」だと思っています。 企業が本気でどれだけ取り組みがをしていくのかが重要だと思いますし、中途半端にやってもスケールを出さないと意味をなさず結果が伴わないと思っています。だからこそ、多種多様なコンソーシアムで他社様とも手を取り合って実施していかなくてはいけないですし、All JapanでTo The Worldで行うことがとっても重要な企業の判断になると思います。 資生堂は化粧品業界においてリーダーで在り続けたいと思っていますし、そのためには常にゲームチェンジャーでいなくてはいけないと思っています。MATSURIプロジェクトから、このゲームチェンジャーに成り得る機会を与えていただいたと思い参画しております。是非、日本発であり世界初の取り組みを実現させるため多くの企業様の参画をお待ちしております!
取材を終えて
今回は藻類産業に一番近い業界でもある「化粧品業界」にフォーカスしてお二人に取材させていただきましたが、非常にワクワクしながらも、藻類の可能性を感じ取ることが出来ました。僕自身は身体の半分が脂質でできているので、燃料などに使われるかと思っていたのですが、化粧品の一部に成り得るかもしれない期待であり夢を与えてもらった気がしています。近未来にある藻類産業を一番最初に形作るのは化粧をする男女かも知れませんね。
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